ムダを削減させることで生産性を向上させ、利益を出しましょう

中小企業診断士 井上美夫

運搬担当者が短期間で退職し、後継を探すのに苦労しているという会社から、その対策についての相談があった。
話を聞いてみると、そこの運搬担当者の主な仕事は、倉庫から部品をフォークリフトで運び出して組立場まで持ち込む作業と、組立完了品を完成品倉庫まで運ぶことであった。この作業のために、毎日、遅くまで残業が続き、この結果、担当者が肉体的・精神的に疲れ、長続きしないということであった。

そこで、実際の現場を見せてもらったところ、本来の運搬作業をする前に、その運搬対象物を探すのに時間が掛かっていた。また、ものの場所が分かっても、そこには多数の品物が雑然と置かれており、さらには目当ての物は奥の方に置かれていることが多々あり、このため手前の物を一端どかしてから、フォークに載せるという作業の繰り返しであった。言い換えると、本来の運搬の仕事よりもムダな仕事に多くの時間と手間を掛けていたことになる。つまり、離職率が高いのは、仕事が忙しいこともあるがそれよりもムダな作業があまりにも多く、モチベーションが下がって精神的な疲れがたまるということにも大きな要因があると思われた。

ムダを分類すると7種類があるといわれている。今回のケースは、整理・整頓の悪さの他に、その「7つのムダ」の内の「在庫のムダ」、「運搬のムダ」そして、「動作のムダ」が該当すると考えられる。つまり、在庫が多すぎることと、整理・整頓が悪いために、物を探す時間が掛かり、また、手前の物をまず移動させなければならないという動作のムダがある。さらには、運搬そのもののムダがあった。

本来、運搬は付加価値を生まない作業であるので、できるだけ最小の移動距離にしなければならない。今回は、倉庫を含めた工場の整理・整頓を徹底させ、最小限のレイアウト変更をした。また、在庫量を削減させてその適正管理を行った。同時に、生産計画をもとにして、まず一週間分の部品を組立職場の側に置くようにした。この結果、運搬に要する時間を大幅に減少させることができたことで、班長が手空き時間に運搬すれば済むまでになり、専任の運搬担当者は要らなくなった。

今回のケースでは、整理・整頓と「7つのムダ」の削減という、極めて当たり前の手法を使ったわけであるが、以上のように、企業によっては、意外とそれが実施されていないということが明らかになった。

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