いざという時のためにも「儲かる仕組み作り」を

中小企業診断士 松林 栄一

先日のこと、岩手県を訪れる機会があり、東日本大震災における被災事業者の復旧・復興支援に取り組む地元中小企業診断士の話を聞いてきました。

岩手県では、2011年10月、二重債務問題などの相談をワンストップで受け付け、東日本大震災の被害を受けた事業者の再生を支援するため、従来の「中小企業再生支援協議会」の体制を大幅に拡充して、「岩手県産業復興相談センター」(以下、「相談センター」)が開設されました。

相談センターでは、企業の相談を受けて被災状況や経営上の課題を把握したうえ、支援施策の紹介など各種のサポートをしています。これまでに約260の事業者から相談を受けたとのことです(2012年3月末現在)。その中で、債権買取の可能性のある案件については、相談センターが金融機関との調整や事業計画の作成をサポートし、一定期間弁済を凍結するために債権買取を行う機関である「岩手産業復興機構」に対して、債権買取の要請を行ないます。

この債権買取は、被災事業者の二重債務問題を解決するうえで有効な仕組みと考えられますが、2012年5月15日現在で「岩手産業復興機構」による債権買取が成立した実績は10件にとどまります。(それでも、岩手県の買取件数は、被災した各県の中で一番多くなっています。)

債権買取の可否を判断する中では、過去のキャッシュ・フローをもとに、今後5年間のキャッシュ・フローを求め、それをDCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法という方法で割り引いて企業の現在価値が計算されます。その結果が金融機関の納得するものでないと、債権買取にはなりません。

「そんな冷たいことを言わずに、困っているのだから、債権を買い取って新たに融資をしてあげればいいじゃないか」という意見もあろうかと思いますが、話はそれほど簡単ではありません。金融機関には、「債務者がどの債務者区分になったらどういう対応をしなければならないか」というのが、現実としてあるからです。

金融機関の融資の判断基準として、以下の3点を押さえておきましょう。

①過去の実績=これからどうなるのかを判断するうえで、過去にその会社の経営はどうだったかが、まず問われます。

②経営姿勢 =頑張ってこういう会社にしたいという理念を持って経営にあたっているかどうかです。

③経営計画 =結局は数字の話になりますが、その数字の信憑性は、①過去の実績と②経営姿勢に求められます。

前述の「過去のキャッシュ・フローをもとに判断される」ということは、①過去の実績に問題がある、即ち今までずっと赤字だった会社は、いざという時にお金を借りられないことを意味します。震災に限らず、いつどんな「いざという時」があるか分からないからこそ、常日頃から「儲かる仕組み作り」を目標に掲げて企業努力をしていかなければならないのです。

私たち中小企業診断士は、この「儲かる仕組み作り」をお手伝いするプロです。(公財)川崎市産業振興財団の専門家派遣など、少ない負担で中小企業診断士を利用できる制度もありますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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