「少数精鋭」を実現するためのアウトソーシングの新潮流

中小企業診断士 社会保険労務士 安田 史朗

「日々、業務が複雑化して、やらなくてはならないことが増える一方で、リソースが足りない」このような悩みを抱えている企業は多いと思います。
「自分の代わりに誰かが(安く)やってくれないものか」そんな思いからか、近年では大企業だけでなく、 アウトソーシングを検討する中小企業が増えています。
昨年パソナテックが行った「業務委託・アウトソーシングに関する意識調査」では、アウトソーシングを活用した経験がある企業は71.9%に上り、「業務委託・アウトソーシングに関心がありますか。」という設問にも7割以上の企業が「関心がある」と回答しています。
アウトソーシングに関心がある理由としては「繁忙期など、期間を限定して業務を依頼できる」「社内に人材や設備を持たなくて良い」「コストを削減できる」と言った社内リソースの有効活用という視点に加えて「専門家に依頼することで高い品質を望める」「社内で行うより短期間で完了するから」といった理由が挙げられ、「プロに任せる」ことによる高品質・短納期の実現もアウトソーシングの効果として期待されていることがわかります。
私もこれまでに、担当者の急な退職や「社員をルーチン業務よりもコア業務に割り当てたい」といった経営方針上の理由で経理業務や給与計算等の事務的業務をアウトソーシングする企業を何度か見てきました。特に各業務の専任担当者を置くことが難しい企業では、専門性が高く、毎月一定の時間を取られる業務はアウトソーシングしやすいようです。
また、これまでは主に事務的業務のアウトソーシングの活用が盛んでしたが、その流れは今後、同様に専門性が高く全社のコスト削減に寄与できる業務として、IT分野のアウトソーシングの進行につながっていくのではないかと推測しています。
その流れを加速する要素として「クラウド」の活用も挙げられます。利用人数や、利用データ量や時間に応じて課金される各種クラウドサービスは、むしろ中小企業こそ恩恵が受けられるものもたくさんあります。しかし実際には大企業の方がクラウド活用が進んでいるのは「クラウド化で削減できるコストが大きい」ことに加えて「社内にクラウド化をリードできる人材がいる」ことも大きな要因といえます。日々進歩が著しいIT分野は、実は事務的業務以上に専門家に任せるべき分野かもしれません。
その一方で、アウトソーシングに関する不安として、先の調査では「適切な業務委託先であるかを判断することが難しい」「業務品質・納期が心配だ」「機密情報の取扱い・セキュリティが心配だ」「適切な契約金額がわからない」といった回答が挙げられています。
適切なアウトソーシング先を選定する決め手となるのは、別の調査では「独自のノウハウやシステムを保有しているから」「価格が安いから」「自社の業務プロセスやITシステムに組み合わせた柔軟な対応が可能だから」「運営体制(十分な人数、管理・責任の所在等)がしっかりしているから」などが挙げられています。「価格」だけで決めずに、現行業務への適合性や、低価格の根拠となる独自の仕組みや実施体制をチェックすることがアウトソーシング効果を高めるためのポイントといえます。不安を解消するために実際の仕事場を訪問したり、これまでの実績や取り扱い件数を聞いて見るなどした上で、最初はリスクの少ない業務等から任せていく等により実現する例もあります。
「所有(社内に持つべきもの)」と「利用(外部に委託するもの)」を分けることによって、限られたリソースの最適配分を実現できるよう検討してみてはいかがでしょうか?

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