アベノミックス景気は会社の経営を再計画する好機

市川 南

□昨年末来、大幅な円安と株高が相乗効果を描くように市場は劇的に反転し、企業家心理も消費者心理も徐々に好転の兆しが見え始め、全体としてみると本格的な景気回復への期待が高まります。背景に、アベノミックスで異次元の金融緩和、積極的な財政金融出動など矢継ぎ早に大胆な政策を投入したサプライズ効果が大きいことは勿論ですが、貿易収支の連続大幅赤字や、米国経済の復活期待など必然とする実体経済の後押があるからです。

□勿論、円安で輸入物価やエネルギー価格高騰で悪化するセクターがあり、そもそも、中小企業や家計にまで効果が及んでないとの声があることも事実ですが、つい昨日までのことを振り返っていただきたいと思います。バブル後漸くデフレ脱出かに見えた時期に、米国発世界金融恐慌の激浪が世界経済を襲い、何とか収束方向を階間見たかという時に欧州発金融危機、そこに東日本本大震災が追い打ち・・とこの7~8年激震が続きました。この間の超円高に端を発するグローバル化の一段の進行や、長引くデフレは、健全で優良な企業にも国内での事業基盤を揺るがせました。私としては、頑張り続けた多くの企業の力強い再生・復活に繋がるような成功を是非とも期待したいと思います。

□さて、この3月末で金融円滑化法が終了しました。当局は、同法終了で変化はないと盛んに広報していますし、実質再延長という言う人もいます。ここで、同法での返済猶予は経営改善計画(実抜・合抜)策定が前提でしたが金融機関が法律上課された当局への実施状況報告のため、返済猶予企業で経営改善計画を提出したのは5分の1程度と言われます。経営改善計画を策定することは簡単ではありませんが、今後は改善計画なしに再度の条件変更はないと考えるべきで、30~40万と言われる返済猶予企業で経営改善計画を策定できず取下げを迫られる企業が大幅増加するとも巷間一部で噂されています。

□環境が大幅に変化した環境で利益の出る新たな儲けの仕組みとするには、経費削減や財務リストラだけでなく、新規の成長事業や成長商品の開発や、将来性をかけた「集中と選択」が選択肢となります。しかし、一方的縮小が続く市場で将来の売上拡大や事業転換を描くことは難しく、成長経済でこそ可能性が広がります。今、市場に前向きな志向が蘇り、近く出されるというアベノミックス第3弾は成長戦略です。「強みを活かし機会をモノにする」「強みを活かし脅威を克服する」「弱みを克服し機会を逸さない」など、コアとなる成長戦略を構築しやすくします。返済猶予企業だけでなく、昨日までの市場の縮小と先行きの展望の困難のために次なる攻めの経営戦略に躊躇されていた多くの経営者の皆様にもアベノミックス景気は会社の経営計画の練り直しのチャンスと見ますが如何でしょうか。

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