中小企業の事業継承・発展に向けて

公益財団法人川崎市産業振興財団
産業支援部担当部長 櫻井亨

 かわさき中小企業診断士クラブの先生がたには、日ごろから、当財団の事業運営、とりわけ中小企業の支援活動にご支援・ご協力を賜り、まことにありがとうございます。

さて、好調な個人消費、公共事業による内需拡大、久しぶりの賃上げ交渉が行われるなど、景気回復の兆しが見えてきたところですが、記事が掲載される5月には消費税増税の影響が出始めているかもしれません。川崎信用金庫がまとめた2014年1~3月期の「中小企業動向調査」では、川崎市内企業の景況感を総合的に示す業況DI(業況判断指数)は0.2と2期連続でプラスを維持したものの、前期比6.6ポイント減と落ち込み、4~6月期はさらにマイナス20.3(今期比20.5ポイント減)と消費税率引き上げの影響により、大幅な後退を見込んでいます。見込み外れであることを期待しますが、多くの市内中小企業の経営者の方々は、景気の見通しは楽観せず、依然厳しい経営環境が続くことを予測されているのではないでしょうか。

楽観できない背景の一つとして、経営者の高齢化、事業承継の問題が立ちはだかっています。昨年、川崎市と当財団は、“事業承継”について、アンケート調査(川崎市内中堅中小企業経営実態調査、平成26年3月、回答342社)を実施しました。5年前の調査と比較したところ、70代の経営者と40代の経営者が増え、世代交代が進まない層と世代交代が進んでいる層と2分化しています。「誰かに事業を引き継ぎたい」が67.5%ですが、「後継者が決まっていない」は、54.7%で、後継者不在のため廃業の増加が懸念されます。事業継承の課題・問題点は、「借入金・保証問題」が99件と最も多く、「技術・信用力の低下」87件、「株式移転(相続)」66件と続いています。経営者個人が事業の借入金の保証をするケースが多く、借入金が事業承継のネックになっています。「後継者を選ぶ決め手」は「経営者の資質・能力」59.4%、「血縁関係」が18.4%と、経営者としての資質、能力を重要視し、後継者に期待するものは、「事業の見直し・効率化」120件、「新事業への挑戦」105件、「新製品・サービスの創出・開発」91件と、後継者に新機軸を打ち立てることを期待しているようです。

後継者候補の発掘・育成、技術継承、金融、相続問題等、多岐にわたる様々な課題に対応するには、行政・支援機関、金融機関、専門家がタッグを組んで取り組まねば対応できない大きな問題です。経営指南、後継者の育成、場合によってはM&Aなど、円滑な事業承継を推進するには診断士クラブの先生がたの、より一層のご支援を期待いたしております。

また、昨年、「新・川崎元気企業」(神奈川新聞社)を発行しました。「川崎市経済・産業の強み」「イノベーションを担う60社の紹介」など、川崎の中小企業が果敢にチャレンジし、それを応援する中小企業支援策を紹介しました。「現場主義・コーディネーション」の政策スタイルの確立がイノベーション推進の鍵として示しています。現場の声が政策に反映できれば、中小企業がより元気になるための政策・制度が拡充され、地域活性化・イノベーション創出を誘導・後押しにつながります。

3月、福田紀彦川崎市長は、(仮称)川崎市中小企業振興条例の制定に向けて、今年度検討を進めると市議会で表明しました。神奈川県内では、県が中小企業活性化推進条例を2008年度に制定、次いで横浜市が09年度に、横須賀市が12年度に制定、今年4月に相模原市も制定しています。“現場主義”の川崎市でも、他の都市と同様に中小企業の振興と育成を目的として、受注機会の拡大や補助制度の充実など、中小企業の発展に必要な支援を実施できる制度の制定に向けて動き出しました。当財団も政策の実行部隊として、“元気企業創出”の一翼を担ってまいりたいと考えております。

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