「コト発想」(価値思考)で考えてみる!

中小企業診断士 沼田 和広

「あなたの会社は、何の会社ですか?」 この質問に、皆さんはどのように答えますか。小売業なら「○○を売っています」、製造業なら「□□を作っています」と答える方が多いのではないでしょうか。このように、自分の会社を、販売している商品から「○○屋」、製造している製品から「□□屋」と呼ぶことがあると思います。

しかし、今は技術革新や消費者ニーズの変化が激しいため、自分たちの商品や製品が売れなくなったり、場合によってはマーケットそのものが消滅してしまうことさえあり得ます。

最近では、フィルムを使ったカメラ(銀塩カメラ)の例があります。デジカメやカメラ付携帯電話の普及で、写真用フィルムの市場はほとんど消滅してしまいました。その結果、写真フィルムメーカーはどうなったでしょうか?

世界一のフィルムメーカーであったアメリカの「コダック」は、2012年1月に連邦倒産法 第11条を申請して倒産しました。一方、日本の「富士フィルム」(「富士写真フィルム」から社名変更)は、業績好調です。なぜ、このような差が生じたのでしょうか?

そのヒントが、「モノ発想」と「コト発想」にあります。

コダックは自分たちを「写真フィルムメーカー」と考えていたのでしょう。ですから、市場の縮小と共に、事業も縮小せざるを得なかったわけです。このような考え方を「モノ発想」といいます。一方、富士フィルムは、自分たちが提供できる価値に焦点を当てて事業を見直しました。カラーフィルムの表面には、20ミクロン(1000分の20ミリ)の間に、光の三原色に感光する20もの層が均等に塗布されています。これを支えているのが、薄膜塗布、精密形成、機能性ポリマー合成、分散、酸化還元処理・・・といった様々な技術です。富士フィルムは、「これらの技術を使って、社会に価値を提供するコト」を自社の使命と考え、技術(既存・新規)と市場(既存・新規)の四象限マップを作って、事業の再構築を行いました。この考え方が「コト発想」です。機能性化粧品の「アスタリフト」も、この中から生まれています。

このように、企業は単に商品や製品といった「モノ」を供給しているだけでなく、消費者や社会が抱える課題を解決する「コト」を提供しているのです。そして、その価値の源泉となっているのが、人材、技術、技能・ノウハウ、知的財産(特許・ブランド等)、組織力、経営理念、顧客とのネットワークといった財務諸表には表れてこない目に見えにくい資産です。

これらの資産は「知的資産」と呼ばれ、企業にとって競争力の源泉です。この知的資産をしっかりと把握し、活用することができれば、業績の向上にも結び付きます(このような経営を「知的資産経営」といいます)。

皆さんの会社がどういう会社なのか、どのような価値(コト)を提供しているのか、その価値の源泉(強み)は何なのか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。中小企業診断士は、知的資産経営のお手伝いもしています。

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