若手社員への動機づけ

 中小企業診断士  足立秀夫

私たち中小企業診断士は、経営者の皆さまからの相談に乗ることを基本として、事業計画の策定支援や人材育成支援などの業務を行っています。経営者の方々とお話をしていると、管理職のリーダーシップや、若手社員の育成についての相談が多くあります。そのような人間性に関することや人の成長などの話題には、論語など中国古典からの名言がとても参考となります。

論語に「子の曰わく、君子は諸(これ)を己れに求む。小人は諸を他人に求める」とあります。その意味はおおよそ次のようなものです。(衛霊公 第十五-21)

先生がおっしゃった。君子は責任を自分に求めるが、小人は責任を他人に求める。

いろいろなところでこの教えを経営に活かせますが、ここでは人材育成の場として考えてみましょう。例えば、用語の「君子」をマネージャーに、「小人」を若手社員に置きかえます。

仕事や上司への不平不満ばかりを漏らす若手社員がいます。そうした人は「人に厳しく自分に甘い」タイプで、自分で仕事を生み出すことや、何かを提案することができないものです。

人に厳しく自分に甘い人。自分の言動は、それが出てきた文脈や背景をすべて理解しているから、どんなに甘くても正当化できるのです。一方、他者の行動は、文脈や背景を推し量らず、表面的な部分だけを切り取って都合のいい部分だけ受け取るため、表面的な理解しかできないのです。つまり、どんなに熟慮された言動でも、その価値がわからないのです。そのため、何かに失敗したり、不平不満を持ったりすると、それは自分のせいではなく、他者のせいであると、簡単に決めつけることになるのです。いってみれば、自分は常に正しく、不都合は他者に責任があるという態度です。このような若手社員を、どのように指導すればよいのでしょうか。

よく「自己実現」という言葉を聞きますが、場合によっては小人的な言い訳に使われてしまう可能性もあります。ならばそれとは反対に、自己のためではなく、「他者実現」をキーワードとして教えてみるのも一つの考え方です。

そもそも仕事とは、他者のニーズを実現するために存在するものです。それには他者の文脈や背景も把握しようと努力する必要があり、その責任を他者に押し付けることもできません。その仕事が成功すれば、結果的に自己実現もかなうことになります。そういう循環を理解させることが上司としての務めであるし、マネージャーとして自分自身で理解することが君子に近づく一歩であるといえます。

孔子は、君子についてこのように言っています。人間が持つべき徳のうち、難しいが最高位にあるものとして「仁」をあげています。だれに対してもいつでも優しさや思いやりを向けることができ、そして相手の事情を理解できるということです。そんな仁の持ち主が君子です。すなわち、マネージャーになるための条件をまとめると、人格者であると同時に、的確な判断を下すことができる人ということができます。

 

~お知らせ~

来る平成27年10月28日に川崎市産業振興財団では、「マイナンバー制度への対応」をテーマにしたセミナーを開催いたします。私が講師を務めますが、中小規模事業者が知らないではすまされないマイナンバー制度の施行への実務対応とその留意点についてご説明いたしますので、是非ご参加ください。

「マイナンバー制度への対応セミナー」

  • 日 時 平成27年10月28日(木)14時~16時30分
  • 場 所 川崎市産業振興会館 9階 第2研修室
  • 主 催 公益財団法人川崎市産業振興財団
  • 講 師 中小企業診断士 足立秀夫
  • 受講料 1,000円
  • お申込み 川崎市産業振興財団のHPをご覧下さい。

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