「型技術」に「新製品開発における資材購買の役割」を掲載

加藤文男

日刊工業新聞社出版の金型の総合技術誌「型技術」に「初心者のための資材購買」を連載しています。第5回は、新製品開発段階の資材購買担当の重要な役割を解説しました。

「利益は上手な仕入れから生まれる」と言われます。新製品の利益は製品開発の初期の段階でほとんど決まってしまいます。営業部門が要求する機能性能を具現化する基本設計、ソフトウエアや意匠が決まる構想設計で製品を構成する原材料(部品)の大枠が決定するからです。

機構設計技術者は新しい金型を使用した斬新なデザインを提案し、電気・電子技術者は他社に負けない機能・性能の電子回路を設計します。基本設計から詳細設計に進むに従い高価な金型や電子部品が採用され原材料費はどんどん膨らんでいきます。しかし、営業部門が提示した市場の販売価格は最初のままです。設計部門の要求を放置すると製品の性能は営業の要求に近づきますが利益のほとんど出ない新製品になってしまいます。

資材購買部門は企画部門と連携を図りながら展示会などで市場の情報を収集し、営業部門の要求する製品の妥当性を確認します。また、設計技術者には技術優先の過剰な機能を有する製品を避け、部品の共通化や標準化を提案し、競争力のある販売価格の実現を図ります。

資材購買担当者は、製造原価の構造を確認しながら営業部門と設計部門の要求のバランスのとり、利益の確保できる製造コストの実現を図る必要があります。それには新製品開発のできるだけ早い段階から参画し、それぞれの段階で機会をとらえて競争力のある新製品のために製造コストを抑制する積極的な提案活動が重要です。

資材購買担当者にとって新製品開発は新製品の利益を確保するための営業担当者や設計担当者との戦いがあるのです。これが資材購買部門の新しく重要な使命でもあります。

 

掲載誌 日刊工業新聞社刊「型技術」5月号

初心者のための資材購買 第5回 新製品開発における資材購買の役割

主な項目

  1. 新製品開発のステップ
  2. 安い販売価格と膨らむ原材料費
  3. 新製品の製造原価の資産
  4. 各開発ステップにおける資材購買の役割
  5. 資材購買担当者の新しい使命

「型技術」については、次をご参照ください。

http://pub.nikkan.co.jp/magazine_series/detail/0005

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