コロナ禍の販促活動

中小企業診断士 猪瀬 記利

新型コロナウイルス感染症の影響の現状

新型コロナウイルス感染症により、多くの中小企業が売上の減少の影響を受けました。以前に比べれば徐々に生活がもとに戻りつつありますが、通常に戻ったとはまだまだ言えない状況です。そこでまず、企業の現状を把握したいと思います。帝国データバンク「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020 年9 月)」によると以下の記載があります。

・新型コロナウイルス感染症による自社の業績への影響、『マイナスの影響がある』と見込む企業は80.6%となり5 カ月連続で減少した。一方、『プラスの影響がある』は3.6%だった。業種別にみると、『マイナスの影響がある』では「旅館・ホテル」(96.8%)が6 カ月連続で、『プラスの影響がある』では「各種商品小売」(35.6%)が7 カ月連続で最も高い ・2020 年度の業績見通し、「増収増益」を見込む企業は10.5%で、2020 年3 月調査時点(13.5%)から3.0 ポイント減少した。一方で、「減収減益」を見込む企業は56.0%となり、同時点(44.4%)から11.6 ポイント増加した ・新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに開始した働き方改革への取り組みは、「オンライン会議の導入」(39.0%)がトップとなった。次いで、「在宅勤務の導入」(33.9%)、「時差出勤・フレックスタイム制の導入」(25.7%)も高い。

(出典:帝国データバンク「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020 年9 月)」 「調査結果(要旨)」より抜粋)

(出典:帝国データバンク「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020 年9 月)」)

「新型コロナウイルス感染症による業績への影響」のグラフを見ると、9月は『マイナスの影響がある』(「既にマイナスの影響がある」と「今後マイナスの影響がある」の合計)と見込む企業は80.6%となっており、8 月から1.9 ポイント減で5 カ月連続で減少しました。しかし、「既にマイナスの影響がある」は7 月時点から約68%で推移しており、依然として高止まりしている状況です。

「新しい生活様式」に対応した商品・サービス

このような状況の中、「新しい生活様式」に対応した商品やサービスとしてどのような取り組みが考えられるでしょうか。帝国データバンク「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020 年9 月)」によると、「咳エチケットに資する商品、サービス」が18.7%でトップ。今後検討している項目では、「インターネットを利用した販路拡大」が11.5%と最も高いという結果となっています。

(出典:帝国データバンク「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020 年9 月)」)

「咳エチケットに資する商品、サービス」「手洗い、手指消毒に資する商品、サービス」などへの対応はひと段落し、今後は「インターネットを利用した販路拡大」「展示品や購入検討時での接触削減に資する商品、サービス」「電子決済の導入や電子決済に資する商品、サービス」が主な課題として挙げられています。特に「インターネットを利用した販路拡大」は、「開発や販売をしている」で3位、「開発や販売を検討している」で1位となっており、多くの事業者にとって重要な課題であるといえるでしょう。

インターネットを利用した販路拡大例

では、「インターネットを利用した販路拡大」として具体的にどのような取り組みがあるのでしょうか。「アジャイルメディア・ネットワーク」が2020年5月13日~25日にWebアンケートにより行った「新型コロナウイルスの感染下におけるマーケティング活動調査」によると、「イベント・ポップアップストア」などへの投資を抑制したのに対し、「SNS活用・SNS広告」「e-コマース」「オウンドメディア」「動画活用」「オンラインのイベント/セミナー/展示会」「WEB接客」など、インターネットを活用した取り組みが上位を占めています。こちらの調査はWebアンケートによるものなので、日本全体の傾向に比べるとインターネット活用に偏った結果と推測されますが、具体的な取り組みのヒントになるでしょう。

新型コロナウイルス感染症により、人々の生活や働き方は大きく変化しました。外出自粛など一時的な変化がある一方で、テレワークの進展は今後の新しい働き方として定着していく可能性もあります。新型コロナウイルス感染症の影響で、売上が減少し苦しい状況に陥っている事業者も少なくありません。しかし、時代の変化に対応していくことは、将来の成長の種を蒔くことでもあります。変化の時代だからこそ、新しい事業のあり方を見つけ、成長の機会としていくことが大切です。

 投資の抑制投資の拡大
1位イベント・ポップアップストアSNS活用・SNS広告
2位マス広告e-コマース
3位店頭販促・分析オウンドメディア
4位交通広告動画活用
5位ネット広告オンラインのイベント/
セミナー/展示会
6位SNS活用・SNS広告WEB接客

(出典:アジャイルメディア・ネットワーク株式会社「新型コロナウイルスの感染下におけるマーケティング活動調査」 https://agilemedia.jp/pr/release200602.html

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