コロナ禍の経営の考え方や行動でその後の「回復に差」ができる

中小企業診断士・国際公認投資アナリスト 石井 浩一

新型コロナ感染拡大第4波

企業経営や景気を語るうえで、「新型コロナウイルスの影響」は避けては通れないテーマとなっています。変異株を要因とした新型コロナウイルス感染症の拡大「第4波」の勢いは都市部で勢いを増している感があります。現在、地域によっては「まん延防止等重点措置」が適用され、4都府県には「緊急事態宣言」が出されました。

WHOによると、4月22日に世界の1日当たり新規感染者数が過去最多の88万人超となったようです。新型コロナウイルスの感染拡大がニュースで取り上げられてから1年以上経過しますが、まだまだ収束の気配を見せていません。

新型コロナウイルス感染症の拡大がもたらしたもの

日本では、新型コロナウイルス感染拡大の政策として、国民全員に特別定額給付金13兆円、さらに事業者には持続化給付金5兆3,000億円超が支給され、2021年1月28日に成立した「第3次補正予算」では事業再構築補助金1兆1,485億円の補助金による経済支援が行われます。その他、国等は家賃支援、飲食店への休業補償、雇用調整助成金などを支出しています。

コロナ禍対策としてイメージできないくらいの現金が世の中にバラ撒かれたわけです。

また、日本政策金融公庫や民間金融機関が貸出し条件を緩和し、実質無利子期間の設定、貸出し上限額の引上げなど、金融支援を行っています。

しかし、消費増加の効果を期待した特別定額給付金は、消費に回らず大半が貯蓄に回ったことが統計上明らかになっています。資金繰りで窮地に陥った事業者のための緊急融資の一部が運転資金や設備投資ではなく、株式や仮想通貨などの投機に回ったことも否定できません。

各国が空前の金融緩和政策をとった結果、緩和マネーが株式市場やビットコインなどの仮想通貨市場に流れ、相場が急伸しています。いずれ、落ち着くべき位置に落ち着くのが市場メカニズムですが、それがいつなのか、どのタイミングなのかは分かりません。ただ、業績の裏付けがない、将来の見通しが描けない企業の株価まで上昇している今の相場をバブルだと感じている人が多いのも頷けます。

何か対策がとれるのか

2008年9月15日に投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻をきっかけにした株価暴落の後、金融機関の貸し渋りが問題となりました。コロナ禍で世界経済が混乱し、やっと収束の兆しがみえた時に、現在のバブル相場がはじけて株価が暴落すると、世の中はどうなるのでしょうか。中小企業はどのような対策をとっておくべきなのでしょうか。

バブル崩壊やリーマンショックからの学びは、過度な相場への投機は慎み、本業に集中するということでした。

コロナ禍における将来見通し

新型コロナウイルス感染症の影響で企業や家計の支出抑制の懸念がある一方で、ZOOMなど情報通信技術の活用や新たなリモートワーク需要に対応した投資等がイノベーションを加速する好影響をもたらす可能性があります。GOTOキャンペーンの効果をみると、消費を我慢する人だけではないことが明らかです。

日本では新型コロナウイルスのワクチン接種が遅れていますが、ワクチン接種が進んでいるイギリスやアメリカではサービス業の回復が顕著になっています。イギリスでは、昨年12月29日の1日当たり新規感染者数約が8万1,000人でしたが、4月18日に新規感染者数が1,882人まで激減しています。ロックダウンの制限は段階的に解除され、徐々に経済活動が再開されています。

4月初旬にIMFが発表した世界経済見通しによると、2021年の世界の経済成長率(実質GDP伸び率)は6.0%、2022年が4.4%と上方修正しています。

興味深い点はその見通しの前提で、①先進国と一部の新興・途上国の新型コロナウイルスのワクチン普及のタイミングを2021年夏、多くの国は2022年の後半までと仮定している点、②バイデン政権による1兆9,000億ドル規模の財政パッケージが米国経済を強力に後押しし、その結果、主要な貿易相手国にもプラスに働くと指摘している点です。また、ワクチン接種が遅れると下振れ要因となるとも指摘しています。

コロナ禍からの回復は「V字回復」の製造業、回復が極めて鈍い「L字回復」の非製造業という2極化が顕著になり、「K字回復」になると言われています。個人的には、全ての非製造業が「L字回復」になるのではなく、非製造業の中でも「V字回復」するところが出る2極化が見られるようになるのではないかと考えています。

コロナ禍からの回復の差は何に起因するか

「不況もまた良し」と考えて、「コロナ禍の今だからこそじっくり自社のビジネスを振りかえってみる。そして、新たなことにチャレンジしてみる。」ということができるかどうかが「将来の回復の差」になる大きな要因だと考えています。

中小企業の皆さんには、「国が支出した給付金や協力金をどのように使うのか」、「事業再構築補助金という過去に例をみない大型の補助金をどのように活かすのか」ということを真剣に考えて欲しいと思っています。

コロナ禍が収束してもコロナ禍前の世界にもどることはありません。人々の考えやライフスタイルが変わった以上、自社のビジネスをどのように適合させていくのか知恵を出していかなければ事業の維持・発展はありません。

事業再構築補助金は、リスクをとって新しい製品・商品・サービスを新しい市場へ展開することを求めているように感じますが、全く未知の分野に挑戦する必要はありません。「自らの強みを活かす」というポイントを外してしまっては既存事業との相乗効果が見込めません。知見のない全く未知の分野への挑戦は、リスクが高くなるので気をつけましょう。

最後に、相場の転換点ですが、各国が資金をどのタイミングでどのように回収するのかを注意深く見るようにしてください。「桐一葉、落ちて天下の秋を知る」一瞬を感じることができると思います。

経営で失敗しないために、自社を取り巻く環境を良く観察して「顧客ニーズが変化する一瞬を感じとる」という点ではビジネスも一緒です。

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