第143回 かわさき起業家オーディション 参加レポート

2025-8-2

2025年7月18日(金)に、第143回かわさき起業家オーディションの最終選考会が川崎市コンベンションホールで開催されました。

「あなたのビジネスアイデアの未来を拓く」のスローガンのもと、かわさき起業家オーディションは、年4回川崎市にて開催されるビジネスオーディションです。活動拠点や国籍などの制限がないオープンなオーディションで、様々なビジネスアイデアを持った多様な方々が参加されます。第143回の最終選考会では、一次書類審査および二次面接審査を通過した5名の起業家からのビジネスプランの発表がありました。5名の発表の概要は以下の通りです。

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■verbal and dialogue株式会社 代表取締役 森川 善基様

https://www.vnd.co.jp

【AI工事写真アプリ「Cheez」で、これからの工事写真は「写真撮影するだけで」】

建設・プラントの現場では、撮影した写真を事務所で整理する工事写真業務により残業が発生してしまっています。同社の『Cheez』は工事写真と黒板を高精度に読み取るAI技術を用いており、特許も取得済みです。これにより写真撮影と同時に台帳を自動生成することで作業時間を最大93%短縮し、人手不足が深刻な現場の生産性を大幅に向上させました。

生産性向上だけではなく、撮り忘れ防止や写真データ自動整理により品質向上と標準化にも寄与します。現在、先着50社限定の無料トライアルを実施しており、導入企業からは「月90時間の残業解消につながった」と高く評価されています。

今後はさらに企業との連携を進めつつ公共工事や海外案件への展開を視野に、建設テック領域の事業開発を行い、プラント業界の生産性向上に貢献することを目指します。

 

■株式会社プライムセンス 代表取締役社長/CEO 高木 淳 様

https://www.primesense.co.jp

【先進的RFIDテクノロジーでプールの溺水事故を防ぐ】

静かに沈む“サイレンスキラー”――子供のプールでの溺水事故は発見が遅れやすく、毎年多くの命が危険にさらされています。こうした事故をなくそうと開発されたのが、株式会社プライムセンスの安全監視システム「Meel(ミール)」です。

このシステムでは、人体装着が可能な先進的RFIDセンサーをスイミングキャップに取り付け、施設の壁面に設置されたアンテナと通信させます。一定時間信号が届かなくなることで水没状態を検知し、1秒以内にモニターやバイブレータ、パトランプを通じて監視員へ通知されます。電波による監視のため、暗所や混雑したプールでも高い検知力を発揮し、死角が生じにくいのが特長です。カメラを使わないので、プライバシーの保護にも優れています。

元トライアスリートでもある高木社長は、「プールでの悲しい事故は、絶対に起こしてはならない」という強い思いで、このシステムを開発しました。すでに実証実験を終え、今後は全国のフィットネスクラブや小学校への導入を目指しています。

 

■株式会社Resilire 代表取締役CEO 津田 裕大様
https://www.resilire.jp/

【サプライチェーンを可視化し、見えない経営リスクを最小化する】
株式会社レジリアは、「世界中のサプライチェーン情報をつなぎ、モノづくりを持続可能にする。」をビジョンに、サプライチェーンリスク管理クラウド「Resilire (レジリア)」を提供しています。

グローバルも含むサプライチェーンの階層構造の可視化や多角的なリスク分析により、災害や地政学リスク、サイバー攻撃など突発事象への影響把握や初動対応を支援します。本サービス導入を機に2次、3次サプライヤーも参画し、情報の精度・鮮度が高まり、サプライチェーンの最適化、安定供給が実現される事例も出てきています。特に複雑な供給網を持つ自動車、化学、電機などの製造業で評価が高く、大手企業への導入実績も拡大中。元トヨタ副社長の伊原保守氏が特別顧問に就任し、業界展開を強化中です。

今後、同社はAIやビッグデータを活用した予測分析やサプライチェーン全体の最適化など、より戦略的なリスクマネジメント支援にも取り組む方針であり、社会全体のレジリエンス向上に貢献する企業として期待が高まっています。

 

■株式会社BIOTECHWORKS-H2 代表取締役 西川 明秀様

https://biotechworks.co.jp

【廃棄物から水素、水素から再生可能エネルギーへ!】

同社は、リサイクル困難な有機性廃棄物を対象に、独自開発の前処理最適化とガス化技術を組み合わせて高純度の水素を生成し、エネルギーへと転換するスキームを開発。全工程を可視化するデジタルプラットフォーム「REBORN」により、CO₂削減効果や循環性を定量的に把握できる仕組みを提供しています。

廃棄物を再エネ資源に変える革新性が評価され、国内外でプロジェクトを協議中です。2026年には富山県南砺市で商用化実証プラントの建設を予定し、実効性の検証を進めます。また、ASEAN各国の廃棄物・エネルギー課題への貢献も期待されており、現地政府や経済団体と連携したプロジェクトも始動。

今後も「廃棄物ゼロ」「エネルギーの地産地消」の社会を目指し、持続可能なエネルギーインフラの構築に挑み続けます。

 

■Blue Farm株式会社 代表取締役 青木 大輔 様

https://blue-farm.co.jp

【企業のESGを前進させる茶畑ソリューション『ChaaS』】

近年、企業にはESG(環境・社会・ガバナンス)やサステナビリティへの対応が求められています。しかし現場では、「何から始めればよいのか」「予算はどう確保するのか」といった戸惑いの声も少なくありません。こうした課題にこたえるのが、Blue Farm株式会社のユニークなサブスクリプションサービス「ChaaS(茶畑 as a Service)」です。

同社は、お茶農家の高齢化や後継者不足により、山間部の茶畑で耕作放棄地が増えている現状に着目。耕作放棄地になる予定だった茶畑で育てられた茶葉から、緑茶のボトル飲料を製造し、企業に来客用飲料等として定額で提供するサービスを構築しました。茶畑には専用のシステムが設置され、炭素吸収量や温室効果ガスの削減効果を「見える化」できます。企業は、飲料の購入という日常的な活動を通じて、環境への配慮を社内外にアピールすることが可能です。また、既存の飲料をChaaSに切り替えるだけなので、コスト面のハードルが低いのも魅力です。

お茶農家に生まれ育った青木社長は、自身の原点を活かしながら、茶畑の保全と企業のESG対応という2つの社会課題の解決に挑んでいます。

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最終選考会に残った5社はいずれも最先端の情報通信技術を活かし、人手不足、溺水事故、サプライチェーン最適化、廃棄物、ESGという社会課題に挑む、まさにスタートアップならではの独創性と革新性を持ったビジネスプランだと感じました。

今回のオーディションでは川崎中小企業診断士会応援賞の該当企業様はありませんでしたが、今後が期待される素晴らしいアイデアばかりでした。参加企業様全てのご多幸とご活躍をお祈り申し上げております。

かわさき起業家オーディション第144回の最終選考会は2025年9月26日(金)です。ご興味のある方は下記サイトをご覧ください。

▼かわさき起業家オーディション 公式HP

https://www.kawasaki-net.ne.jp/bizidea/

 

多数のご参加をお待ち申し上げております。

(文責:創業支援部 柏木、中込、箱山)

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