戦略の実行を促すKPIマネジメントとは

菊地 和志

経営計画作成における問題点

貴社に経営計画はありますでしょうか?そして計画どおりに経営されていますでしょうか?
「計画を作成して経営するのが大切なことはわかっているけど、日常業務が忙しくてそこまで手が回らないよ!」という経営者の方も多いだろうと思います。
経営計画が作成できていない理由は様々でしょうが、「作り方がわからない」、「作る時間がとれない」、「計画どおりに実行されないので作業がムダになる」といった理由が考えられます。その対応策としては、「効率的に作成」出来て「実行に結びつく方法」を「身に付ける」ということになりますが、その中でも「計画を実行に結びつける」という点に難しさがあります。
それでは、計画と実行を結びつけるにはどのようにすればよいでしょうか?
ここで、一般的な経営計画の作成方法について振り返ってみたいと思います。一般的な経営計画の作成と実行は、以下の手順で進められます。
management-planning
「我が社は経営計画を作成しているよ」という企業においても、売上と利益額が達成できたかどうかを確認するだけに留まっているケースが多いと感じています。
その原因は、手順の⑤戦略策定と⑥実行の間にギャップが生じてしまっているからに他なりません。
このギャップを解消し、戦略を着実な実行に結びつける橋渡し役がKPIであり、効果的な経営計画を作成し、その実行をKPIで推進する手法がKPIマネジメントなのです。

KPIマネジメントとは

KPI(Key Performance Indicators)は、重要業績評価指標と訳されます。KPIを設定することで、定性的な戦略目標を測定可能な数値目標に変換することができます。その達成度を測定することで戦略の成否を判断することが可能となり、戦略と実行がガッチリと結びつけられます。
戦略を数値化することのメリットとしては、次の3つがあげられます。
①成功と失敗の定義が明確になり効果測定が可能となる。
(効果がなければ施策を変える、予算を追加するなどの次の行動が判断できるようになります)
②事前に実現性のシミュレーションが可能となる。
(「この数字をこう変えたらこうなる」という因果関係が明らかになるので費用対効果を事前に見積もることが可能となり、予算超過などの失敗を防ぐことができます)
③戦略と日常業務の関係を明らかにする。
(戦略が実行されない理由のひとつが、戦略と日常業務との壁です。戦略を日常業務に落とし込むことで日常業務における従業員の戦略的行動を誘発できます)
つまり、戦略を数値化する目的は、数字をしつこく追いかけ、それを達成すれば戦略が達成される状態をつくることにあり、「戦略を数値目標化し、その数値目標をしつこく追いかけるしくみ」がKPIマネジメントだと言えます。

KPIマネジメントの進め方

KPIマネジメントも基本的な進め方は一般的な経営計画の作成と実行の手順と同じですが、戦略遂行に最も重要な要因を特定し、それを定量化しKPIとして設定するプロセスが追加されます。
たとえば、売上拡大のために「顧客満足を高める」という戦略目標を立てたとしましょう。顧客満足は定性的なものであり、それ自体を測定するのは難しいものです。しかし、戦略がうまく進んでいるかを判断するためには、何らかの方法で測定しなくてはなりません。
顧客満足を測定する方法として真っ先に顧客アンケート調査が思い浮かびますが、その他にも顧客の滞在時間や利用回数、クレーム件数の減少等々、顧客満足の状態を表し、測定可能なものであればKPIの候補となります。
これらのKPI候補の中から、戦略目標の達成に最も重要な要素であり、測定可能性や測定のしやすさといった観点を総合的に勘案し、適切なKPIを設定することがKPIマネジメント成功のポイントとなります。

KPIマネジメントの組織への影響

経営者が一人でKPIの設定を行ってもうまくいきません。戦略と実行を結びつける効果的なKPIを設定するためには、現場との意見交換が必須となります。
KPIの設定を現場とのコミュニケーションを取りながら進める中で、組織全体での戦略の理解が進み、目標の共有が可能となっていきます。
そしてKPIがチームや個人の明確な目標として意識されるようになることで、その達成に向けてチームや個人が自らの行動をどのように変えていくべきかを自主的に考える習慣が身に付くようになり、自律問題解決型の強い組織風土が形成されていきます。

KPIを活用した経営計画の作成とその運用の概略について説明させていただきました。
すべての戦略を定量化しようと意気込むと初めの一歩が踏み出せないと思いますので、重要で数値化しやすい戦略から始めて段階的に進めて行くのがよいと思います。

なおKPIマネジメントに関しては、セミナーも行う予定です。ご興味をお持ちの方はそちらの案内も、ご覧いただければと思います

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