IoT/ICTを含む経営カイゼンのワンストップサービスについて

田中 弘一

企業の経営カイゼンコンサルタントは、従来はカイゼン個々の項目であるが、最近、求められているのは、さらに企業全体に焦点をあて、業種に由来する固有技術、IoT/ICTを含むコンサルタントである。同コンサルタントのワンストップサービスを提案する。

IoT/ICTを含むカイゼンコンサルティングのワンストップサービス

下記にIoT/ICTを含む、カイゼンコンサルティングのワンストップサービス表を示す。コンサルティングに際して、企業全体~現場まで俯瞰し、かつ、対象企業の状況を把握し実施する。また、カイゼンの要素であるIoT/ICT、従来のカイゼン、新規事業等、固有技術等、IoT/ICT等の新技術について記載し、ワンストップサービスを表す。

  1. カイゼン対象組織
    カイゼン対象組織が企業全体、工場管理、現場管理なのかを明確にし、それぞれに適したコンサルタント手法を採用する。
  2. IoT/ICT対象システム
    企業全体でERP、SCM、工場管理ではMESのICT、現場管理ではPLC、IoTが使用される。PLC、IoTはMESと現場機器の通信機能を担い、MESからの指令をロボット等現場機器伝え、センサーよりデータを取得しMES等上位システムに伝える。
    なお、ERP、SCM、MESは多様な業種・業態へのオプションがある。自社に合ったIoT/ICTを選択する。
  3. カイゼンIoT/ICT有用ツール
    Big Data、統計(データサイエンスと称される)、AI、可視化、設計データ、RF-ID等の通信を含むセンサーがある。可視化は現場データを表示装置に表示する。IoTの導入初期において予定/実績等を表示することにより生産性向上、品質向上に有用であり、かつ、現場リーダーの業務の効率性を高め残業の短縮に寄与している。設計データはCADにて作成され、魅力的な商品設計、材料データ、作業工数の提供、CAM/CAIとして製造、検査の情報を提供する。CADの導入により生産性向上を30%達成した。CADは製造業では必須のツールである。
    IoTは4種類に分類され、用途は主に工場設備の稼働率向上に利用されている。
    • ボードコンピュータを主体にした格安なIoT
      なお、ボードコンピュータと周辺機器を購入し自分で組立、プログラミングの方法もある。
    • MES、PLCを主体にした従来延長のIoT/ICT
    • 中小企業を対象とした、格安、ソフト重視、オープン化の最新傾向のIoT
    • カイゼン従来体系において測定を補助とするIoT
  4. カイゼン従来体系
    • マネジメント
      ISO9001はステークホルダー等を含む企業全体をカバーする優れたマネジメントシステムである。カイゼン従来体系では自社のマネジメント、顧客重視に対するカイゼンが含まれていない。ISO9001の採用はそれに対する回答である。
    • カイゼンシステム
      TPMは世界的に重視され、その効果と、指標の設備総合効率(OEE、詳細は後述)は種々の産業に適用可能な汎用的、かつ、世界指標である。例えば、日本企業が海外企業を採用する指標になっている。
    • アドバンストカイゼンシステム
      カイゼンIoT/ICTは単独でも効果はあるが、カイゼン従来体系に対して、IoT/ICT を付加した筆者提案のアドバンストカイゼンシステムはより効果を上げる。
  5. 新規事業、業務革新
    • BDS
      ビジネス・ディベロップメントは新規事業を立ち上げ、組織を拡大し、雇用を生み出す。そのためにBDSで必要なビジネススキルには次の項目がある。
       販売、財務・会計、マーケティング、合併・買収、法律、戦略的経営、その他
    • ICC
      ICC はシュンペーター、ドラッガーのイノベーション理論に基づき、新規事業、新製品開発や業務革新に使用する。
  6. 固有技術/業界
    カイゼンコンサルにとって最大の課題はコンサルタントが固有技術/業界を知って適切なコンサルティングが出来るかである。代表的な固有技術/業界を取り上げる。
    • サービス業において需要予測が重要である。例えば、小売業における需要予測に基づく自動発注であり、発注数量を見誤るによる食品廃棄ロス、精度向上による売上増大、人手不足の解決策である。
    • 食品業におけるHACCPの知識、省エネルギーにおける省エネルギーの知識は必須である。
  7. IoT/ICTの最新技術
    最近ではSNSによるマーケティングやスマートフォン、ボードコンピュータによるIoTが注目されている。
  8. 対象企業の状況
    • 重要な経営指標
      • 労働生産性
        労働生産性は世界的な指標として国際比較や企業の相対的なレベルを表す。
      • 限界利益法の損益分岐点
        限界利益法の損益分岐点は経営計画の基礎データで、TPS等で管理会計の核である。
      • OEE (Overall Equipment Effectiveness)
        OEEは時間効率、性能稼働率、良品率からなり85点以上がグローバル企業として合格となる。
      • 需要予測の精度
        サービス業、特に小売業で需要予測の精度向上は、企業の向上、社会的貢献指標である。

カイゼン開発手順

  1. 自社状況、SWOT分析など自社の位置の明確化
    自社状況、利害関係者、業務・情報の流れの明確化、SWOT分析により自社位置を明確にする。
  2. カイゼン対象、カイゼン手法
    分析後にカイゼン対象、手法を明確にする。IoT/ICTでは自社に合っているかを留意する。
  3. ベストプラクティスの調査
  4. フィージビリティスタディ(FS)、計画の実施
    FS において前記1.~3.を考慮しBDSを含む計画を作成し、実施する。
  5. 中小企業診断士による支援
    • 中小企業診断士による前記1.~4.の支援
    • IoT/ICTを採用する場合は、IoT/ICT開発企業と対象企業との仲介支援

成功のポイント

  1. 経営者のリーダーシップ、自社従業員の参画
    経営者のリーダーシップ、及び自社従業員がクロスファンクションチームにて開発に関与する。
  2. IoT/ICT採用時は身の丈にあった投資
    • 売上の何%を投資に回せるか?
    • IoT/ICTに従業員をどの程度まで時間を割けるか?

事業承継

業務を表に基づき標準化、システム化すれば、事業承継も容易になる。

まとめ

  • 表にカイゼンワンストップサービスを示し、今後のカイゼンコンサルタントの提案である。
  • カイゼン効果は、筆者の感覚では、内容にもよるがIoT/ICTカイゼン、従来カイゼン、アドバンストカイゼンによる生産性の向上は、3、1、4の比率である。

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