長寿企業の秘訣 日本的経営の原点

中小企業診断士 平田 仁志

日本には長寿企業が多いといわれています。創業100年以上の企業は10万社以上、200年以上の企業に限っても3,113社も有ると言われています。これは世界一です。2位のドイツが1,563社で3位のフランスになると300社くらいになってしまいます。

現在は100年に一度の不況と言われていますが、日本の過去を振り返ればこれ以上の不況が何度も有りました。例えば関東大震災とそれに続く金融恐慌(このとき日本近代における唯一のモラトリアムが実施されました)や太平洋戦争終結後の復興期、そしてバブル景気に続く10年不況です。このような荒波を乗り越えて100年以上も事業が継続できるということは奇跡といっても良いくらいのことだと思います。

ではなぜ日本に長寿企業が多いのでしょうか。例えば『日本の経営』で有名なアベグレン先生は『日本の企業は社会的組織であり、共同体である。構成員のために長く存続することを目標としている。個人主義ではなく集団主義であり社員とは「終身の関係」』(04年「日本の経営」新訳本前書き)と言っています。またQCで有名なデミング博士はメキシコやギリシャでも同じように品質の話をしたのになぜ日本だけが品質改善に成功したのかとアメリカに帰国後も考え続けTQCを提唱したとのことです。

日本の会社は「共同体的」で「品質に対するこだわり」があるという特徴があるということです。しかし、それだけで長寿企業になれるのだったら日本にはもっと長寿企業が有っても良いのではないでしょうか。
実は、長寿企業には共通する特長があります。それは、世の中で果たして行くべき役割或いは使命をはっきりと認識し常に徹底的に追求しているということです。

共同体と品質だけでは内向きの独りよがりの品質追求に終わり社会の変化に取り残されてしまったでしょう。数が多いとは言っても200年以上残っている企業はわずか3,113社しかないとも言えるのです。

例えば三河商人の「三方良し」はお客様と自社だけでなく世間にとっても良いことを目指すのだといっています。このように世の中に目を向けているから共同体と技術へのこだわりが世の中の動きに合わせた自己変革を促し、可能にして長寿企業になれたのです。

老舗企業の代表である虎屋が次のように言っていることがそのことを証明しているように思います。『「伝統とは革新の連続である」という信念のもと日々努力をし、時代の流れを読みつつ常に前進しなければならないと思っています。』

本業を極め社会の変化に合わせて経営革新を続けてこそ長寿企業になれるのです。

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