「中小企業金融円滑化法」の終了と「中小企業経営力強化支援法」の施行

松井利夫

 2009年12月、亀井大臣の肝いりで施行された「中小企業金融円滑化法」が平成25年3月31日限りで終わることが決定した。一方で、「中小企業経営力強化支援法」が6月に可決成立し9月施行に向けていろいろと準備が進められている。

 帝国データバンクによると、「中小企業金融円滑化法」が施行された翌2010年には53件の中小企業が倒産したが、2011年には約4.7倍の247件が倒産したと発表。

「中小企業金融円滑化法」とは、借り手が返済期間を延ばしてくれと銀行などに頼むと、なるべく延ばしてあげるように借金返済を先送りするわけであるから、その間に業績が好転すれば何の問題もないが、この不景気では、業績改善は困難である。「中小企業金融円滑化法」は、2012年3月末までに切れるはずであったが、東日本大震災や円高の影響を重く見て平成25年3月31日まで延長することになった。これ以上な延ばさない方針である。

 金融庁は、「中小企業金融円滑化法」の延長を踏まえて、中小企業の経営支援のための政策パッケージを4月20日に公表した。それによると、①金融機関によるコンサルティング機能の一層の発揮、②企業再生支援機構及び中小企業再生支援協議会の機能及び連携の強化、③その他経営改善・事業再生支援の環境整備、を推進していくとのこと。

 その一つの政策として、各地域における中小企業の経営改善・事業再生・業種転換等の支援を実効あるものとするため、「中小企業支援ネットワーク」を構築することになった。

 一方、経済産業省は今年の3月、「中小企業の海外における商品の需要の開拓の促進等のための中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(中小企業経営力強化支援法)」を閣議決定し、6月21日に衆議院本会議において可決成立した。

 法律改正の趣旨は次の通りである。

(1)支援事業の担い手の多様化・活性化
既存の中小企業支援者、金融機関、税理士法人等の中小企業の支援事業を行う者の認定を通じて、中小企業に対して専門性の高い支援事業を実現する。また、中小機構の専門家派遣等による協力や信用保証の付与による資金調達支援を通じ、支援事業を支援する。

(2)海外展開に伴う資金調達支援
支援機関の承認又は認定を受けた計画に従って行う中小企業者に対し、以下の措置を講じる。①日本政策金融公庫の債務保証業務、日本貿易保険の保険業務を拡充し、中小企業の外国関係法人の海外現地金融機関からの資金調達を支援する。②中小企業信用保険の保険限度額を増額し、親子ローン等を通じた海外展開を支援する。

  中小企業庁は、新興国との競争激化や国内市場の低迷に直面する中小企業を支援するには、財務や会計面からの経営事情に詳しい金融機関や税理士、社会保険労務士といった専門家も活用し多角的に実施する必要があると判断。地域の商工会や商工会議所といった既存の中小企業団体を中心とした支援策から「支援の担い手の多様化」へとかじを切る。新制度では支援機関同士が連携することで、経営支援と金融支援を相互補完する効果も期待している。金融機関が資金調達や財務計画立案を支援し、中小企業団体が販路開拓を後押しするといった形である。一連の施策で中核に位置づけられるのが地方銀行や信用金庫といった地域に根ざした金融機関である。融資先企業の経営に積極的に関与する「リレーションシップバンキング」と呼ばれる手法を活用し、単に事業資金を融資するだけでなく企業が計画する新事業を積極的に後押ししたり、「成長の芽」を見いだす役割を期待している。

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