小規模事業者の経営課題=「営業・販路開拓」

中小企業診断士 竹尾伸一

小規模事業者が日々考えなくてはならないことは、たくさんあります。運転資金の確保、人材の確保・育成、後継者の検討、業務効率化、新商品・サービスの開発、技術力の維持・強化など。

その中で、小規模事業者が一番悩んでいる経営課題は何でしょうか?それは、営業・販路開拓です。

中小企業白書(2014年版)によると、「小規模事業者の事業活動の実態把握調査」(全国商工会連合会)において、経営課題として営業・販路開拓を選ぶ企業が最も多くなっています。さらに、営業・販路開拓の中でも「既存の営業力・販売力の維持・強化」を課題として上げる企業が最も多く、続いて「国内の新規顧客・販路の開拓」、「海外の新規顧客・販路の開拓」となっています。なぜ、営業力・販売力に悩む企業が多いのでしょうか?

今、日本に存在する385万社の中小企業のうち、約9割(334万社)が小規模事業者であると言われています。小規模事業者とは、製造業その他では従業員20人以下、商業・サービス業では従業員5人以下の企業を言います(中小企業基本法)。

小規模事業者は、地域の経済社会・雇用を支える存在として重要な役割を果たすとともに、将来の日本を牽引する企業に成長する可能性を秘めている存在です。

しかし昨今、人口減少に伴う国内需要の減少や大企業の海外移転等の経営環境の変化の影響、また、高齢化に伴う消費者ニーズの変化を受け、小規模事業者を取り巻く経営環境は厳しさを増しています。そして実際に、小規模事業者企業数は大きく減少しています。こうした崖っぷちの環境を生き残るために、営業力・販売力の強化が喫緊の課題である、と考える企業が多いのです。仮にこのまま小規模事業者の活力が減退した場合、地域の雇用及び住民生活の両面において、地域社会に与える影響は大きいでしょう。

こうした小規模事業者をしっかりと支援するため、本年度「小規模企業振興基本法」が成立しました。これは、小規模事業者のサポートを総合的かつ計画的に、そして国、地方公共団体、支援機関等が一丸となって戦略的に実施していく方向を示す内容となっています。

今までは、国や地方自治体が毎年予算や税制など様々な支援策を用意しているものの、残念ながらこれらの支援策の存在を知っている小規模事業者は限られ、また実際に活用する者はさらに少ない、といった状況があったのかもしれません。

「本当に必要な小規模事業者へ、適切に支援施策を届けるためには、施策を立案する行政、施策を届ける支援機関、そして施策を利用する中小企業・小規模事業者間の施策情報の流れや連携の在り方などを、今一度抜本的に見直してみる必要がある」(中小企業白書)ため、今後あるべき中小企業・小規模事業者支援の体制が、白書でも述べられています。

こうした背景を踏まえ、小規模事業者の営業・販路開拓を強化するために、あるべき方向性や活用すべき方策などを今一度検討する必要があるでしょう。

営業・販路開拓に悩む小規模事業者の方々、まずはどうぞお気軽に、川崎市産業振興財団・川崎市中小企業サポートセンターにて窓口相談などを利用してみてはいかがでしょうか。

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