会社への個人貸付金に思うこと

中小企業診断士 小林 巽

Ⅰ。個人貸付金が増える傾向にあります。

1.金融機関や知人などからの資金調達がままならなくて、一時しのぎのつもりで、個人名義で会社に貸し付けるケースは中小企業によく見受けられます。急場しのぎのことで、すぐに返済してもらえるものと貸し借りを書面にせずそのままにしているのが現状と思います。

しかし、中々返済してもらえず、むしろ個人貸付金が増える傾向にあります。

2.別の増える要因に決算処理でのテクニックによるものが考えられ、要注意です。

ご承知の通り、貸借対照表の「資産の部の合計」と「負債・資本の部の合計」は一致しなければなりませんが、往々にしてそうならず、差額を個人貸付金にしわ寄せすることがあります。というのは、各勘定科目は実地棚卸や残高証明書・台帳等でチェックされますが、間違いが比較的判り易いのは、現金勘定の帳簿残と実残が合わないことです。この原因は台帳への記帳漏れにありますが、他の勘定科目でも見受けられ、

この差額が意外と大きいことがあります。

このようなことが続くと、知らぬ間に個人貸付金が増えることになります。

 

Ⅱ。個人貸付金についての懸念

1.貸し借りを証明する書面(契約書)がない。頻度が多いので面倒と思われているでしょうが、公私混同(会計処理の透明性に欠く)と見られてもやむをえません。

昨年2月から実施された「経営者保証に関するガイドライン」で、金融機関は経営者保証をとらないよう自粛することになっておりますが、この取扱いの前提には経営者の公私混同をクリヤーにすることが求められております。

2.現金支出の記帳の精度に疑問が持たれる。しいては会計システムのあり方が問題視されます。「中小企業の会計に関する基本要領」(平成24年公表)に抵触する可能性があり、金融機関からの借り入れ等に不利となります。

3.相続税法が平成25年に改正され、本年1月1日から実施されています。「遺産に係わる基礎控除」が減額され、税負担の増加が懸念されますが、会社への個人貸付金は相続の対象になりますので、貸付金が膨らむのは税負担増に繋がります。

 

Ⅲ。懸念への対応例(貸付金の減少を図る)

1.    役員報酬を減らし、その分を返済に充てる。

2.資本金に現物出資し、増減資を繰り返して、現行資本金を維持する。

3.    会計システムを見直す。

 

Ⅳ。経営のご相談は川崎市産業振興財団の専門家窓口相談や当クラブをご利用下さい。

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