BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)策定のおすすめ

 

福島一公

 皆さんは川崎市の地震被害想定調査(平成25年3月)をご覧になったことがあるでしょうか。川崎市では川崎市直下の地震と元禄型関東地震を想定した被害を想定しています。

それによりますと、川崎市直下で発生する地震では幸区、中原区、高津区ではほとんどが、そして川崎区、宮前区の多くの地域で震度6強の揺れが想定されています。震度6強では鉄筋コンクリート造の耐震性が高い建物でも、壁、梁、柱などの部材にひび割れ・亀裂が多くなるとされ、地盤では液状化が生じ大きな地割れが生じることがあるとされています(気象庁震度階級関連解説表)。また想定では、被害として特に高津区以南の地域で被害が大きくなるとされ、市内全域での建物の被害が全壊数22,329棟(全体の約9%)、半壊数49,798棟(同20%)、約10棟に3棟の建物が大きな被害を受けることになります。特に木造の建物の被害が大きく、さらに液状化や急傾斜地の崩壊による被害も生じると想定されています。火災の発生や地震の揺れにより水道、ガス、電気および鉄道もストップし、道路も寸断され通常の経済活動が行えなくなります。

平成23年3月11日発生の東日本大震災においては、一社に集中していた車載用マイコンの生産がストップしたために、大手自動車工場が3か月にわたり生産が激減したことは記憶に新しいところです。また、設備や資材の調達など一時的にでも自社に様々な影響が生じたことを思い出していただければと思います。取引先などの利害関係者は仮に大きな災害が生じたときにおいても、自らの業務の中断がないように、また中断が生じても可能な限り早期に再開されることを期待しています。したがいまして、企業が生き残るためには、このような災害が生じても事業の中断により他社に影響を及ぼさないようにすることにより、顧客の他社への流出やマーケットシェアの低下、企業評価の低下を最小限にとどめることが求められます。それに対しては、事業継続計画(以下BCP)を事前に策定し、運用しておくことが有効となります。素手で猛獣と戦うよりも何らかの武器をもって戦う方が有利なことは自明の理です。

BCPは防災計画とは違い、事業に与える地震や事故、感染症などの様々な事象に対して、自社への影響を把握、分析し、その影響を最小限にとどめるとともに、被害を受けても必要な時間内に必要な業務を遂行できるようにできるにはどうしたら良いかを事前に計画するものです。そして、それを普段の事業活動に織り込んでいくことにより、文字通り事業の耐震性を高めることができます。

BCP策定で最も重要なことは、経営者がまずその必要性を認識することです。被害を受けたときに自社生き残りのために何を優先するかについて、最終的に責任を持って決断できるのは経営者しかいないからです。事象が生じたその時に利用可能な設備や資材をどの事業に優先的に振り向けるか、またどの事業の継続を断念するかという究極の決断に迫られるからです。

BCPを策定するプロセスとしては概略下記の通りです。

  1. 何のためにBCPを策定するかという方針を定めます。
  2. BCPの推進体制を構築します。
  3. 自社の生存のための中核事業を特定し、重要業務を選定します。
  4. 想定した事象における中核事業・業務への影響分析を行います。
  5. 影響分析を受けて事業推進のための業務・資源の分析を行います。
  6. 想定した事象による被害からの目標復旧時間を設定します。
  7. 目標復旧時間を達成するために必要な対策(手段・方法)を検討します。
  8. 上記を文書化して社内への周知徹底を図ります。

BCPは事業を継続するための計画ですが、これを生きたものにするためには検討した必要な対策を着実に実行していくこと、そして教育・訓練を実施し定着させることによってBCM(Business Continuity Management)にまで高めていくことが必要となってきます。

上記は一見大変そうに見えます。しかしながらまずは簡易なBCPを策定するだけでも自社の経営に活用することができます。私たち中小企業診断士はこのBCP策定に多くの知見を有しています。是非ご活用ください。

川崎市では(公財)川崎市産業振興財団において、中小事業者の経営に関する各種の課題解決のための施策を行っています。相談分野に応じて専門家を派遣する専門家派遣事業(有料)や各種課題について相談に応じる専門家窓口相談(無料)、緊急性を有する場合に専門家を派遣するワンデイコンサルティング事業(無料)などがあります。是非一度ご相談ください。

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