企業経営のウイニングランナーは「優良納税企業」

中小企業診断士 富澤 勗

国内企業の約3分の2は赤字企業

国税庁の調査によれば、平成26年度の「赤字企業の割合は66.4%」ということです。
税務・会計事務所も、赤字の顧問先には、黒字経営化のアドバイスに専念し、付随的に節税ノウハウの助言をしているということです。
なぜこのように赤字企業が多いのでしょうか。そもそも社会貢献を第一に考えて、利益を社会に還元している企業や所属する業界全体が衰退傾向にあるため、必死に努力をしても、黒字化を達成できないでいる企業もあります。
残念なのは、経営改善努力をした結果、経営が順調な軌道に乗っても、期末に利益が多く出そうになると、最短1年で償却できる4年経過済高級中古外車を購入するなど黒字幅を縮小させる浪費に走る経営者を目にすることです。

黒字経営を達成したら自己資本の充実に専念すべき

環境の激変を克服できる強固な財務体質を実現し、成長戦略を推進するためには、「無駄な出費を抑えて納税することを厭わず自己資本の充実を図ることが肝要である」と経営の王道を説かれても「わかってはいるが節税に走ってしまう」経営者の気持は理解できます。
しかし、企業は生き物であり、環境の激変に耐えるためには強固な財務体質づくりが必要です。収支トントンの決算を繰り返している企業は、「リーマンショック並の環境激変」に遭遇すると直ちに苦境に陥ってしまうことになります。
経済が国際化した現在、「リーマンショック並の環境激変の要因」は急増しています。
1. 国内要因では、外国為替相場の急激な変動をはじめ
・少子高齢化(人口減少)
・国家財政の累積赤字問題など
2. 海外要因では、英国のEU離脱やEU分裂・崩壊の危機をはじめ
・BRICSの累積債務問題なかでも中国経済の成長鈍化
・中東の政情不安(IS・原油価格下落・難民)
・所得格差の拡大とポピュリズムの台頭(トランプ現象)など、
個々の企業が回避することができないリスク要因は益々増加しています。

逆に、自己資本充実重視型経営には、以上のリスクに対する抵抗力が強化されるというだけではなく、金融機関の評価が高まり、金利の優遇、新規借入のスピード承認、経営者個人保証の解除などが期待できるようになるというメリットがあります。
これらの結果、製品開発、新規事業開発など思い切った先行投資の実行や人材育成を推進できるという本来的なメリットがあります。
無駄な出費を伴う節税行動を控えて、自己資本の充実を優先することが肝要なのです。

節税対策は是々非々で

ただし、すべての節税対策を講じる必要がないということではなく、キャッシュの社外流出を伴わない節税対策は大いに活用するべきです。
キャッシュの社外流出を伴わない節税対策には、「課税時期の繰り延べ対策」が約9割、「永久的節税対策」が約1割あります。
1.「課税時期の繰り延べ対策」には、
・退職給与引当金、未払給与、未払家賃、未払社会保険料の計上
・設備投資償却資産の割増償却、即時償却制度の活用
・固定資産の買替、交換制度の活用、など様々な対策がありますが、
増減税がない限り、長期的な税額のトータルは同じになります。
2.「永久的な節税対策」には、過去の不始末の整理と国の政策に基づく特例があります。
(1)過去の不始末の整理
・貸倒損失の処理、
・不良在庫の整理と除却損の計上、不稼働資産の除却損の計上など
(2) 国の政策に基づいた特例制度の活用
・個人の所得拡大を目的とした、「所得拡大促進税制」:中小企業の場合には人件費増額
分の最大20%が控除されます。(但し、様々な適用条件のクリアが必要です)
・「中小企業経営力強化法」認定企業に対する固定資産税の特例:新たな購入機械の固
定資産税が3年間、半額に軽減されます(赤字企業でもメリットを享受できます)

川崎市産業振興財団においても、窓口相談をはじめワンデイコンサルや専門家派遣事業を通じて、国の支援策および補助金・助成金制度のご紹介や経営アドバイスを実施しておりますので、お気軽にご相談ください。

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