「事業再構築補助金」申請に必要な5類型区分の方法と「日本標準産業分類」の見方、読み方について

中小企業診断士 磯村 幸一郎

はじめに

事業再構築補助金は、予算額1兆1,485億円(令和2年度第3次補正予算)が計上され、かってない大規模予算のため、昨今非常に注目されている補助金です。トピックスでも2021年2、3、5月号で話題として採り上げられておりますが、詳細は3月下旬の事業再構築指針、同指針の手引き(いずれも改訂後)、事業再構築補助金公募要領の公表により、明らかになりました。令和3年度は5回の公募がある予定ですが、第1回公募が3月26日に開始され5月7日(4月30日から延長)に締め切られました。事業再構築補助金の概要は表1の通りです。ニーズとして多いのは中小企業者等の通常枠と緊急事態宣言特別枠と思われます。

本レポートでは本補助金の申請に必要な業種・業態・事業の意味とこれらの転換等による5つの類型の違い、類型を定義づける「日本標準産業分類」の見方,読み方等を事例を交えご紹介したいと思います。

1.業種・事業・業態とは

  • 業種とは、事業再構築では(以下同じ)、日本標準産業分類(総務省)の大分類の産業をいいます。製造業、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業、建設業、不動産業・物品賃貸業等20分類あります。中小企業基本法でいう卸売業、小売業、サービス業、製造業その他の分類とは必ずしも一致しません。
  • 事業とは、日本標準産業分類の中分類、小分類又は細分類の産業をいいます。
  • 業態とは、小売業、外食産業等で使われる営業形態で百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等(経済産業省)が代表例です。

2.事業再構築と事業再構築5類型の定義

事業再構築とは、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編のいずれかをいいます。

  • 新分野展開とは、主たる業種・事業を変更しないで、新製品・新商品・新サービスを提供することにより、新市場に進出することをいいます。
  • 事業転換とは、新製品・新商品・新サービスを提供することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することをいいます。
  • 業種転換とは、新製品・新商品・新サービスを提供することにより、主たる業種を変更することをいいます。
  • 業態転換とは、製品・商品・サービスの製造方法又は提供方法を相当程度変更することをいいます。
  • 事業再編とは、組織再編行為(合併、事業譲渡等)等を行い、新たな事業形態のもとでの、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換のいずれかをいいます。

主たる業種(事業)とは、売上構成比率の最も高い業種(事業)が属する産業をいいます。

3.事業再構築の類型別要件

各類型は上記2の定義を満たすほか、類型ごとに示す事業再構築要件を充足する必要があります。各類型ごとの再構築要件を表2に示しました。

  • 製品等の新規性要件とは、過去に製造したことがない、主要な設備を変更すること等です。
  • 市場の新規性要件とは、既存製品等と新製品等の代替性が低いことです。
  • 売上高10%基準とは、新製品等や製造方法等の売上高が総売上高の10%以上になることです。
  • 売上高構成比率要件とは、新製品等の属する事業又は業種が売上高構成比率で最も高い事業又は業種となることです。

4.「電子申請入力項目」に入力する「日本標準産業分類」の産業名、分類番号

電子申請時に事業再構築前と後の主な事業又は業種を入力しなければなりません。その際「日本標準産業分類」に即してコード(分類番号)と項目名を入力する必要があります。事業再構築の類型、転換する事業等で大、中、小、細分類のいずれを入力するかは変わってきますが細分類まで把握しておかないと正確な分類はできません。分類番号を調べるには、「分類検索システム」により、キーワード検索ができて重宝ですが、検索でヒットしないこともあり、ご自身で細分類まで調べておかれることをお勧めします。

5.事業再構築の事例

事業再構築の事例としては経産省、中小企業庁作成の「事業再構築補助金の概要」、「同リーフレット」、「事業再構築指針の手引き」に22事例(除くダブり)、「事業再構築活用イメージ集」に16事例掲載されていますのでイメージとして、参考にしてください。事例を見ると、同一会社がコロナ前は主に航空機部品製造、コロナ後は主に医療用機器部品製造に変わる例がありますが、再構築後の類型は「新分野展開」と「事業転換」の2事例に分かれております。新市場進出の有無、売上高構成比率要件の充足可否(主たる事業になるかどうか)によって類型も違ってきます。

上述40余の事例ごとに、再構築後の産業を大分類から細分類に分けてみましたが、紙数の関係で、ここでは掲載を省略いたします。皆さま方も自社の業種・事業を知るには、大分類から細分類までの把握が必要かと思われます。

なお、2021年版中小企業白書・小規模企業白書の「中小企業の新事業展開事例集 概要」も必ずしも事業再構築補助金の要件を満たすものとは限りませんが再構築の参考にしてください。

参考文献

  1. 事業再構築補助金の概要(2.1版)経済産業省、中小企業庁
  2. 事業再構築指針(令和3年3月29日改訂) 経済産業省、中小企業庁
  3. 事業再構築指針の手引き(1.1版)経済産業省、中小企業庁
  4. 事業再構築補助金に関するよくあるお問い合わせ 経済産業省
  5. 「事業再構築指針」「事業再構築指針の手引き」に関するよくあるお問い合わせ 経済産業省
  6. 「事業再構築補助金」 公募要領(第1回)(1.4版)事業再構築補助金事務局
  7. 電子申請入力項目 中小企業庁
  8. 日本標準産業分類(平成25年10月改定)総務省
  9. 事業再構築補助金のリーフレット 経済産業省、中小企業庁
  10. 事業再構築 活用イメージ集 経済産業省、中小企業庁
  11. 2021年版 中小企業白書・小規模企業白書~中小企業の新事業展開事例集 概要~中小企業庁

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