あらゆる業種・業務に役立つ5S

中津山 恒

非製造業にも5Sを適用しましょう

5S(「ゴ エス」または「ファイブ エス」)は改善活動の基礎で、整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)の5つがすべてSで始まることから、この呼び名があります。この5Sという言葉は、多くの方が耳にしたことがあるのではないでしょうか。飲食業や宿泊業などで5Sを実践している企業も増えていますが、製造業でなくとも5Sが役立つことは、まだあまり知られていないように思います。

本稿では、サービス業などの非製造業や、製造部門以外の業務においても5Sを実践することをお奨めし、また日常生活においても5Sが役立つことを併せてご紹介します。読者の皆様が経営者で、5Sの導入を検討されるのでしたら、まず日常生活で5Sを実践し、その経験をもとに貴社での5S導入を推進することもひとつの方法だと思います。

5Sとは

下表に、5Sを簡単にまとめました。

項目 内容 ポイント
整理 不要なものを捨てる 判断基準を決めて遵守する
整頓 決められた場所に置く 必要なものをすぐ使えるようにする
清掃 常に使える状態に保つ 保守管理も含む
清潔 整理・整頓・清潔の3Sを常に行う 関係者全員が理解する
躾(しつけ) 整理・整頓・清潔・清掃の4Sを常に行う 組織として5Sを実施する環境をつくる

5Sの順番にも意味があり、この順に実践することになっています。たとえば、整理して不要なものを捨てることで、ものを置くために必要なスペースを削減し、整頓を行うことができます。同様に、整頓を行うことで、ものを把握しやすくなり、保守管理を含む清掃がしやすくなります。

5Sの実践については、経済産業省が5Sマニュアルを公開しています。やや分量がありますが、5Sの実践に取り組む場合には参考にすることをお奨めします。このマニュアルと併せて、Excelの帳票類と記入例も提供されています。

サービス業における5S

5Sはトヨタ自動車の改善活動から生み出され、製造業でよく実践されていることから、製造業のための活動というイメージがあるようです。しかし、5Sの対象となるのは、工業製品を製造するための道具や材料、仕掛品などに限りません。wrenches

飲食業であれば、食材、調理器具、計量器などの厨房で使用するもの、メニュー、食器、カトラリー、調味料、ナプキンなどの顧客に提供するものなど、業務で使用する様々なものが対象であり、5Sの実践による業務改善が可能です。宿泊業であれば、飲食業の例で挙げた対象に加えて、寝具やアメニティなども対象となります。

kitchenware

業種によらず、一般事務の業務は概ね共通と言えると思いますが、ここでも5Sの実践が可能です。何年も使われていない資料が棚を占拠していたり、資料が乱雑に格納されていたりしがちで、整理と整頓によって業務改善が可能です。

ちなみに、前述した経済産業省の5Sマニュアルでは、5Sによる改善事例(作業のムダ・ミス削減)として3社を取り上げており、そのうち2つはサービス業の事例です。

日常生活にも役立つ5S

5Sが日常生活にも役立つということは、非製造業にも役立つということ以上に知られていないと思われます。

ある入門書では「5Sは日常生活でやっていることを適用すればよい」と述べていますが、日常生活で体系的に5Sが実践されていることは、ほとんどないように感じられます。

衣類を例にとり、5Sの基本となる整理と整頓を見てみましょう。

  できない/しない理由の例 発生する問題
整理 捨てる基準をもっていない
いつか着ると思っている
着ない服が増える
収納スペースが不足する
整頓 収納場所が決まっていない
とりあえず収納すればよい
着たいときに服が見つからない
探すのに時間がかかる

整理では、捨てるための基準を決め、基準を守る必要があります。これが難しいので、不要な衣類が「タンスの肥やし」になり、結果的に収納場所が不足して整頓も難しくなります。

整頓では、決められた位置にものを置く必要があります。しかし、ちょっとした手間を惜しんだり、「すぐに使うから」と使ったものを元の場所に戻さなかったりすると、次に使うときに探すことになります。もとの場所に戻すための時間はほぼ一定ですが、探すための時間はどれくらいかかるか読めません。時間で出かけるときに、着たい服が見つからないと非常に困ったことになります。

  実践 効果
整理 捨てる基準を決めている
基準に沿って捨てている
収納に要するスペースが少ない
整頓 収納場所を決めている
元の場所に都度戻している
服を簡単に取り出せる

整理と整頓を一時的に行うのは難しくありませんが、継続して実践することは容易ではありません。しかし、しばらくの間、努力して実践を続けてみると、整理と整頓の効果を身に沁みて体感できます。必要なものを必要なときにすぐに取り出せるようになったとき、それまでに探し物にかけていた、時間と労力の無駄に気づきます。

終わりに

読者の皆様が経営者で、貴社で5Sによる改善活動をお考えでしたら、まず日常生活で5Sを実践してみることも一案だと思います。

5Sの実践には、経営者のリーダーシップが必要不可欠です。経営者が整理と整頓の効果を自分の体験として語れば、説得力をもって従業員に伝えることができます。それによって、5Sの実践を強力に推進できると思います。

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