地域産業連関表の利用について

中小企業診断士 清水信行

1. 平成23年地域産業連関表が公表されています

この1年ほどの間に、平成23年地域産業連関表の公表が相次いでいます。

川崎市及び周辺の自治体では、

がそれぞれ公表されています。

通常、産業連関表は5年おきに公表されることになっていますが、工業統計調査等が合体した経済センサス基礎調査の関係で、1年遅れた公表になっています。5年前の経済状況を取りまとめた統計表ですから、1年でも遅れると影響があり、経済調査機関やコンサルタント、地域経済の振興に携わる関係者は待ちに待った公表ではなかったのではないでしょうか。

2. 地域産業連関表の利用について

産業連関表には、いろいろな利用のしかたがありますが、実際に以前作成した者として、また、現在は中小企業の発展を支援する立場の者として、有効な利用のしかたを紹介いたします。

(1)投入係数表を読み解く

産業連関表には、取引基本表、投入係数表、逆行列係数表の3つセットで作成されます。この中で投入係数表は自治体の実務ではあまり重視されませんが、実際に中小企業を支援する立場になると、業界、地域の状況をみる上で重要です。支援企業の原価率(中間投入=内生部門)をチェックし、他地域と比べ高いか低いか、その原因を中間投入の内容を見て考察することを環境分析の一つとして加えると、経営戦略を立案する上で重みが増すと思います。

(2)提供されている波及効果分析ツールを利用する

残念ながら、川崎市ではありませんが、神奈川県及び横浜市では経済波及効果の分析ツールが用意されています。ここに需要額を入力することによって、波及効果を簡易的に算出できます。例えば、エネルギー政策として電気自動車の購入者に補助金が出るとします。その分の金額だけ需要が増えると考え、最終的な補助金の効果をみることができます。

※平成23年産業連関表では、最も詳細な190部門表でも「電気自動車」の区分はありません。便宜的に「自動車」部門に需要額を入れます。今後、関係者に検討をお願いしたいところです。

(3)県・市民経済計算にも注目する

地域産業連関表を作成しているのは、都道府県と政令指定都市、その他旭川市や佐賀市など一部の意欲のある自治体のみです。より詳細な地域の分析をする場合は難しい面があります。その場合、県・市民経済計算ですと市町村のデータがある場合があります。按分になるかも知れませんが、より精度の高い分析のために、県・市民経済計算に当たってみることも考えられます。

このように、取引基本表で概観をみるだけでなく、応用編である経済波及効果分析や各産業の付加価値の大きさを調べたりする一歩進んだ利用をお薦めします。

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