今後の経営を考える

中小企業診断士 服部 健吉郎

内閣府が8月17日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)の速報値は、実質で前期比0.9%増(年率換算は3.7%増)となり、5四半期ぶりにプラス成長となったということです。アジアを中心とした輸出の回復に加え、経済対策の効果もあって個人消費が持ち直し、公共投資も堅調に増加した結果、戦後最悪水準のマイナス成長が続いた状況から、大幅なプラス成長へと回復し、景気の底打ちを宣言した6月の政府月例経済報告を裏打ちした形となりました。しかし、この回復は経済対策と外需に依存しており、これで本格的に景気が回復に向かったと考えて、積極経営に転じるには時期早尚といわざるを得ません。

ただ、昭和初期の大恐慌と今回と比較すると、中国をはじめとする新興国が経済発展を続けており、世界経済の下支えとなっている点が大きな相違点ですし、またエコ等のイノベーションが生まれていますから、かっての大恐慌のように経済が沈滞したままの状態が際限なく続くとは考えにくいと思われます。

先日、ある40代の方と久方ぶりにお会いし、お話しする機会がありました。これからの景気について話が弾む中で「今乗っている車が使えなくなったら、もう車は買わない」とおっしゃったのは驚きでした。後日30~40台の方々とお会いする機会があり、「先日こんな話を聞いたのですが皆さんはどうお考えですか?」とお聞きしましたところ、意外に多くの方から同感というご返事が返ってきました。

こういった考えが一般的だとしますと、車だのみの景気回復を期待するのは難しいように思えますし、景気が回復しても、我が国での自動車販売はもう以前の水準には戻らないと考えておくべきではないでしょうか。  さらに、自動車産業ではエコカーが中心になってくるのは間違いなさそうですが、ハイブリッドが本命なのか、電気自動車が本命なのかまだ分かりませんが、自動車産業の中身はかなり変わったものになるのではないかと思われます。こういった傾向はなにも自動車産業に限ったことではありません。中小企業としては、自社製品の将来について、見通しを立て、対策を講じていかねばなりません。

変革の時代には、時代に取り残されないように、その変化に適応していかなければなりませんが、適応の仕方にもそれぞれの企業の独自性が発揮されるべきでしょう。独自の技能や技術を生かして新分野・新商品の開発に挑戦するのも一法ですし、他社が撤退する中、先祖代々受け継いできた力にさらに磨きを掛け、生き残るのもまた一法です。それぞれ知恵を絞ってこのチャンスを活かしてください。

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