生成AI×デジタルマーケティングの最前線
- 2025/9/1
- 診断士の視点

中小企業診断士・ウェブ解析士、JDLA Deep Learning for GENERAL 2024#6 黒木 太陽
生成AIは急速に進化し、動画制作やホームページ運営にも新しい可能性をもたらしています。本稿では、国内の最新AIトレンドを概観しながら、YouTubeでのスクリプト作成やSEOキーワードの組み込み方、企業サイトのコンテンツ戦略と検索最適化に生成AIを活用する方法を、中小企業診断士の視点からまとめました。後半ではAI活用時の注意点や、人間の専門性とのバランスについても触れます。
1.国内トレンドから見る生成AIの進化(2025年8月時点)
近年の生成AIは、かつての「流行のツール」から中小企業の現場にも浸透するインフラへと変貌しつつあります。国内のAI大学「SHIFT AI」が発表した『AIトレンド通信 2025 年6月号』では、o3‑Pro モデルなど国産も含めた生成AIの利用料金が大幅に下がり、音声モードやメモリ機能を備えた Projects 機能の強化や、クラウドサービスと連携する Connectors 機能、「Record Mode」などの新機能が続々と追加されていると報告されています。さらに、2025年8月には米OpenAIが最新モデル「GPT‑5」を発表し、ハルシネーション(誤情報生成)が大幅に減少し、博士レベルの専門的な質問にも高精度で答えられること、プログラム作成能力が飛躍的に向上して複雑な設計や不具合修正も最小限の指示でこなせること、文章・画像・プログラムを統合的に理解して非常に長大な文書を一度に処理できる最上位モデルであることなどが紹介されています。生成AIは情報収集から実務支援まで幅広く活用されるだけでなく、新しいコンテンツやサービスを創造する基盤となり、中小企業でも導入ハードルが着実に下がっています。
2.YouTubeでの生成AI活用
文字起こしとスクリプト作成
動画コンテンツではストーリーテリングとシナリオの質が重要ですが、脚本作成に時間をかけられない中小企業も多いでしょう。その際に役立つのがAIによる文字起こしとスクリプト生成です。生成AIの紹介記事によると、音声認識と自然言語処理を組み合わせた文字起こしツールは、動画ファイルをアップロードするだけで高い精度で音声をテキスト化でき、1時間のインタビューを手動で4〜5時間かけて書き起こすところを、わずか数分で完了させ、話者の区別や句読点の挿入も自動化してくれるといいます。こうして生成されたテキストを土台に、ChatGPT や Gemini などの大規模言語モデルに要約や構成案の作成を依頼すれば、長尺動画から要点を抽出した台本を効率良く作成できます。
AIスクリプトジェネレーターの活用
さらに、日本語対応の動画編集ソフトFilmoraの解説では、ChatGPT を動画スクリプトジェネレーターとして活用する具体的な手順が紹介されています。記事では、ChatGPTのアカウント登録を済ませたら、動画のテーマやターゲットを入力して草案を生成し、それをFilmora上で編集して完成させる流れが提案されており、生成AIによって魅力的なスクリプトを簡単に作れると強調されています。こうしたAIツールを利用すれば、脚本作成に要する時間を短縮し、撮影やチャンネル運営に集中できるだけでなく、新しいアイデアを得るきっかけにもなります。
3.生成AIを活用したHPの SEO 対策
SEOコンテンツ制作の効率化
ホームページの SEO では、自社の強みを明確にし、それを検索されやすい言葉に翻訳する作業が欠かせません。生成AIはコンテンツ制作の工程を大幅に効率化できます。国内のデジタルマーケティング企業が公開した解説によれば、生成AIは関連キーワードの調査や競合サイトの分析、参考文献のリサーチ、記事構成案の作成、下書きの生成などの業務にかかる時間を大幅に短縮する力を持ち、記事一本あたりの制作時間を短縮して余った時間を品質向上や他の施策に充てられると述べています。また、生成AIは検索意図に基づいて「AI SEO 使い方」のようなテーマの目次案を提示し、キーワードリサーチや見出し案の作成、本文ライティングの支援など多くの作業をサポートできることも解説されています。こうしたツールを活用することで、キーワード選定から記事構成、下書き作成までを効率的に進めつつ、捻出したリソースをオリジナル情報の追加に振り向けることが可能です。
人間の品質担保とガイドライン遵守
ただし、生成AIの利用には注意点もあります。同記事は、Google は AI が生成したコンテンツ自体を問題視しているわけではなく、ユーザーにとって高品質で役立つ情報かどうかを重視していると説明しています。検索順位の操作のみを目的とした低品質な AI コンテンツの大量生成は、Google のスパムポリシーに違反する可能性があり、ペナルティの対象となることにも触れています。さらに、品質を担保するためには経験(Experience)・専門性(Expertise)・権威性(Authoritativeness)・信頼性(Trustworthiness)という「E‑E‑A‑T」の考え方が重要であり、AI が事実に基づかない情報を生成するリスクを踏まえて、人間によるファクトチェック、独自情報の追加、ブランドイメージに合った表現、倫理的な観点からのレビューが不可欠だと強調しています。生成AIはあくまで効率化のアシスタントと位置付け、最終的な品質や発信情報の責任は人間が担うという姿勢が求められます。
生成AIと人の共創体制
その企業では、生成AIと人がそれぞれの強みを活かした制作フローを構築し、事前調査や構成案の作成は AI で自動化しながら、得られた余白を専門家への取材や独自調査に再投資することでコンテンツの深みや信頼性を高めていると報告されています。このように、AI の効率化と人間のクリエイティビティを組み合わせることで、質と量の両面を両立させることが可能になります。
4.まとめ
生成AIの進化により、デジタルマーケティングはこれまで以上に革新的なものとなっています。YouTubeでは、AIが文字起こしやスクリプト生成を支援し、アウトライン作成や脚本生成、イントロ・アウトロの改善、動画SEO対策など、制作の各工程をサポートしてクリエイターや企業が迅速に高品質なコンテンツを提供できる環境が整ってきました。ホームページのSEOでは、AIがキーワード調査や競合分析、記事構成案の作成から下書き生成までを支援する一方、品質と独自性を担保するための人間の関与が不可欠であることが強調されています。生成AIの力を活用しながら、専門性や経験にもとづく独自の情報を発信し、ユーザーに価値あるコンテンツを届け続ける姿勢が、これからのデジタルマーケティングに求められると言えるでしょう。

【参考サイト】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000154.000116644.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000109.000124536.html
https://shift-ai.co.jp/blog/12353
https://shift-ai.co.jp/blog/12353
https://lany.co.jp/blog/ai-seo