米関税ショックから川崎の中小企業を守る!最新支援策

中小企業診断士 小野 慎介

1.緊急対応パッケージの内容とは?

2025年4月25日、日本政府は「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」を発表。中小企業が直面する困難に対応するため、以下の緊急対応策が盛り込まれています。
(1) 相談体制の整備
(2) 企業の資金繰り支援の強化
(3) 雇用維持と人材育成
(4) 国内消費喚起策の強化と国民の暮らしの下支え
(5) 産業構造の転換と競争力強化
その中には以下のような内容も含まれています。
・下請法改正による価格転嫁の徹底
・「ものづくり補助金」や「新事業進出補助金」などで、関税影響を受ける企業を優先採択の対象に
川崎市の製造業や技術系事業者にとっては、補助金の審査において優先的に評価される可能性が大きく、明確な追い風となります。

2.セーフティネット貸付の要件が緩和

通常、「前年同期と比べて売上5%以上の減少」が条件となる日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付」ですが、今回の関税ショックの影響を受ける事業者については、この要件が免除されるケースがあります。 川崎市内で急な売上減があり、資金繰りが逼迫している事業者にも、低利融資(設備・運転資金)の活用を検討いただけます。

3.NEXI(日本貿易保険)による支援強化

日本貿易保険(NEXI)は、米国が実施した鉄鋼・アルミへの関税強化(25%→50%)に伴い、輸出不履行や代金未回収、船積不能などに対して保険金支払い対象を拡大しました。 川崎の部品メーカーや製造業者にとっては、輸出リスクのヘッジが可能です。輸出取引における不測の損失にも備える体制として、NEXIの利用は極めて有効です。

4.「ミカタプロジェクト」で伴走支援

自動車関連分野では、「ミカタプロジェクト」が展開されています。これは自動車部品サプライヤーを対象に、経営アドバイス、専門家派遣、設備導入支援などを行うプログラムです。 川崎市には多くの部品関連中小企業があるため、このような伴走的支援を積極的に活用することで、事業転換や効率投資の検討がしやすくなります。

5.国内相談窓口の整備が徹底

経産省は商工会、金融機関、よろず支援拠点など全国約1,000ヵ所に特別相談窓口を設置しました。 川崎市でも、商工会議所や中小企業診断士会などが連携し、相談対応や申請支援に取り組んでいます。制度の活用に不安のある方は、まず相談から始めることをお勧めします。

6.教育・雇用関連の支援にも注目

関税措置による経営への影響を受けた企業が雇用を維持するために、「雇用調整助成金」の手続きを早める支援や、教育訓練休暇給付金の新設が予定されています(2025年10月開始見込み)。 人材を守り、育てることも経営の安定には欠かせません。これらの支援を組み合わせて活用することで、経営基盤の安定化が可能です。

7.川崎の中小企業経営者にお勧めしたい実践アクション

川崎の中小企業経営者にお勧めしたい実践アクションは以下です。

1.関税影響がある旨を明記して補助金申請
書類や応募時にその旨を示すことで、評価されやすくなります。
2.セーフティネット貸付の活用を検討
売上減少のデータが無くとも、影響があれば相談可能です。
3.NEXIを通じてリスク管理を
輸出契約の不履行や物流トラブルに備えて、保険の付保を。
4.強制的に価格転嫁が難しい場合の相談
ミカタプロジェクトの支援が利用可能か確認を。
5.相談窓口を活用し、申請から実現までをサポートしてもらう
川崎商工会議所や診断士会等で、書類作成の相談も可能です。
6.雇用・人材支援と組み合わせた制度活用
教育訓練支援や雇用調整助成金を併用し、安全な経営体制を構築。

まとめ:支援を「制度」に留めず、「経営機会」へ

米関税によるショックは川崎市の中小企業にとって看過できない課題です。しかし、政府が打ち出す「緊急対応パッケージ」には、資金面・事業転換・リスクヘッジ・雇用維持など、実際に使える支援策が並んでいます。
ただ制度を知るだけでなく、「自社の経営課題を解決するツール」として捉え、積極的に相談・申請・活用を進める姿勢が、今こそ求められます。川崎の中小企業の皆さまには、これら支援を“攻めの経営”の基盤として変えていただき、中期的な安定と成長につなげていただきたいと願っています。
ご不安やご相談したい事項がありましたら、遠慮なく当会までご連絡ください。

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