知的資産経営の薦め

中小企業診断士 田中 一次

1. 知的資産とは?
知的資産とは何でしょうか?知的財産権という言葉はよくお聞きになっていると思います。
特許権や実用新案権、商標権、著作権等のことで、法律で認められている権利です。知的所有権とも言います。知的資産とは、もっと広い意味で、「従来のバランスシート上に記載されている資産以外の無形の資産であり、企業における競争力の源泉である。人材、技術、技能、知的財産(特許、ブランド等)、組織力、経営理念、顧客とのネットワーク等、財務諸表には表れてこない目に見えにくい経営資源の総称」のことです。(中小企業基盤整備機構の「事業価値を高める経営レポート」より引用。)要するに知的資産とは、企業の競争力の源泉となる無形資産のことです。
実は、この知的資産が経営を継続していく上で重要な要素となります。日本は世界でも類のない老舗企業の多い国です。200年以上継続している企業が、1,000社あると言われています。これらの老舗企業が、自社の強みと考えているものが、信用、伝統、知名度、地域密着、顧客の継承、技術の継承等の知的資産です。老舗企業には、中小企業がたくさんあります。物的資産ではない知的資産が、まさに中小企業が経営を継続していく上で重要なKeyと言えるでしょう。

2. 知的資産経営の薦め
中小企業の強みは、財務諸表に表れない知的資産に存在する場合が多いと言えます。しかし、企業自体が自社の知的資産を認識していない場合や社内で共有化できていない場合、顧客やその他のステークホルダーに伝わっていない場合が多いのが実態です。つまり、知的資産が経営に効果的に活用されていないと言えます。知的資産を経営に活かすことが、自社の将来を切り開く一つの方法となるでしょう。

3. 知的資産経営の実践
実際にどのように知的資産経営を進めればよいのでしょうか。次の4つのステップで進めてください。
① 第1ステップ:知的資産の棚卸
自社の知的資産を棚卸し、自社の強みを認識することから始めます。SWOT分析で自社の強みの源泉が何であるのかを整理します。
② 第2ステップ:ストーリー化
自社の強みがどのように収益に繋がってきたのか、また、今後どのように繋げていくのか、過去の実績を踏まえてストーリー化し、経営方針を明文化します。
③ 第3ステップ:見える化のための指標の設定
経営方針を達成するための管理指標を設定します。方針の達成度合いを定量的に測定すするための重要な指標となるものです。
④ 第4ステップ:見える化と実践
知的資産経営報告書としてまとめることで可視化します。社内で共有化し、自社の知的資産経営を深めることに役立ちます。また、社外とのコミュニケーションツールとして、自社の知的資産経営を伝えることに役立ちます。

事業承継の時期を迎えた企業にとっては特に有効です。後継者が中心となって知的資産報告書をまとめることで、知的資産の継承が可能となります。物的資産を多く持たない中小企業の経営手法として、知的資産経営にぜひ取り組まれることをお薦めします。

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