ものづくり補助金(平成29年度 補正予算案)について

有松 竜文

経済産業省関係の平成30年度 当初予算案 及び平成29年度補正予算案が昨年末に公表されました。そのなかで、中小企業・小規模事業者の抜本的な生産性向上関連にて、「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業」が平成29年度補正予算として、1000億計上されております。このことより2018年についても、ものづくり補助金が継続されることが濃厚と推測されております。案によりますと、『第4次産業革命への対応も視野に、専門家の指導・支援の活用を含め、革新的サービス開発・ 試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援』することに予算を使うこととなっております。従来までの流れを継続しつつも、専門家の指導という点を意識することで、単なる製品購入にとどまらないことを念頭に置いているように見受けられます。今回は、ものづくり補助金について私見を述べることで、これからものづくり補助金を申請する企業の方が、無理のない事業計画をたてることができる助けになればと考えております。

ものづくり補助金は、金融機関や顧問税理士などの士業、メーカー等から、多くの経営者の方に紹介をされており、最近ではかなり認知度の高い補助金ではないでしょうか。その一方で、補助額(概ね1000万円)が強調され過ぎたために、取らないともったいないといった気運を生み出してしまっており、正しい経営判断をするにあたっての障害になっている例も見受けられます。

ものづくり補助金は、給付者を厳選するために計画書を提出し採択を行い、その計画に基づく費用に対して一定の補助率(例えば2/3)をかけた金額を補助上限額の枠内で支払うという形式をとっております。申請者側としては、せっかく採択されたのに補助金額が少ないと損した気分になるので、補助上限額で申請しようという気持ちになってしまうのは仕方がないと思います。しかし、本来不要である費用を使うことは、申請者側にとって本当に得していると言えるのでしょうか。これは、無駄な出費をしていることと同じです。また、300万円の設備を100万円の自己負担で購入したとしても、有効活用できないのであれば、その100万円を別の事業に活用したほうが、売上が伸びて、企業としてお得であったかもしれません。つまり、本来不要である費用を含めて補助金申請を行うことは、申請者側にとって本当に得していると言えず、逆に補助金で得られる効用を損なってしまっているとも言えます。

過去の採択された企業をみると、採択された事業を継続して行い会社の成長につなげられている例は、あまり多くありません。事業計画書では、綿密に計画されていたにもかかわらず、実際に採択された後は、1年もたたずに計画どおりに進めることができていない企業も見受けられます。このような企業の多くは、申請段階のみを外部の方(コンサルタント等)に委託していたために、計画実行や、計画の微修正が自力で上手くできずにいるのではと考えられます。今回のものづくり補助金では、「専門家の指導・支援の活用」に焦点を当てているのは、計画を実行できることが何よりも要求されていることと感じております。

従来のものづくり補助金では、専門家費用はあまり重要視されていなかったため、申請代行のようなコンサルタントが横行しておりましたが、「専門家の指導・支援の活用」に焦点があたったことで、専門家費用を含めた申請が増加することが想定されます。その一方で、よりコンサルタントの方は、不必要なものづくり補助金の申請を経営者の方に進めることが増加されると思います。経営者の方は、本当にその事業が必要なのかを見極めたうえで、申請可否を判断して頂ければと思います。

繰り返しとなりますが、最後に、補助金申請で採択された事例をみると、補助金事業が無くても実施していたと思われる計画、つまり本当に企業にとって必要な費用が書かれている計画が多く採択されていると思います。なぜならば、身の丈に合った計画でしっかりとした根拠があり、考え抜かれた計画になっているからです。補助金を目当てに行動するのではなく、結果的に補助金が使えて助かった、というような付き合い方をして頂ければと思います。

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