【今さら聞けない】Webマーケティングの基本

中小企業診断士 柏木 友秀 

1.Webマーケティングとは

誰もが「Webマーケティング」という単語を聞いたことはあると思います。しかしWebマーケティングが何なのか説明できる人は少ないのではないでしょうか?何となく「SEO対策をしてホームページを検索上位に持ってくるんでしょ」とか「YouTubeチャンネルを開設してマーケティングするんだよね」とか断片的な情報は知っていると思います。実はWebマーケティングはそのようなものだけではありません。今回は今さら聞けないWebマーケティングの基本を分かりやすく解説していきます。
いきなりの結論ですがWebマーケティングとは「Webを使って行う商品開発から販売までの一連の流れ」のことです。あれ、意外になじみ深いものだぞ…と思った方もいるかもしれません。言葉の構成を見るとWeb+マーケティングでWebマーケティングです。つまり本質的な部分は昔からあるマーケティングの活動と同じなんです。

2.各プロセスの解説

もう少し詳しくWebマーケティングの活動を見ていきましょう。一言で「Webを使って行う商品開発から販売までの一連の流れ」といっても実際の活動は6つのプロセスで構成されます。それぞれのプロセスでは次のことを実行します。

2.1. 商品設計・コンセプト設計

まずは商品、サービスを作るところからです。まずコンセプトとして、「誰に・どんな未来を・どう届けるのか」を決める必要があります。これはいわゆる事業ドメインと同じものになります。創業したてとか、これから全くの新規事業を立ち上げる場合を除いて、多くの企業は既に商品やサービスを持っていると思います。もちろんコンセプトが明確に定まっていない…という場合はコンセプト設計に立ち戻るようにしましょう。
その後は商品設計に入ります。ITサービス、飲食店、アパレル…等など業態は無数にありますが、基本的にはコンセプトに沿った商品設計を行います。ここについては深く触れるときりがないため、いったん次に進みましょう。

2.2. 認知

続いて認知のフェーズです。認知とは自社の商品を見てもらう、気付いてもらうためのフェーズです。例えば同じシャンプーでも何度もCMで見かけたものと、店頭で初めて見かけたものでは購買率が大きく変わるでしょう。そのためWeb媒体を使ってターゲットへ自社や商品を知らしめていくか?を考えていきます。
Web媒体は色々ありますが、自社ホームページ・ブログ・ランディングページ・Web広告・YouTube・TikTok・Instagram・X(旧Twitter)・LINEなどが挙げられます。しかし全部をやり切るには膨大な時間と予算がかかるため、実質不可能です。そのため、この中でも特にトレンド(人が集まっているところ)と拡散性能に着目する必要があります。
例えばFacebookという過去に流行ったSNSがあります。しかしこれから利用者の増加は見込めないでしょう。そのため利用者が増加している旬のプラットフォームを選ぶことが重要です。もう一つのポイントが拡散性能です。これは以下に自分の投稿がシェアされるか、と言い換えてもOKです。例えばXではリポスト(再投稿)という機能があり、人気のある投稿はよくリポストされます。YouTube、TikTok、InstagramなどもAIがオススメしてくれる機能があります。そのため登録者やフォロワーがいなくても拡散する力があるのです。

2.3. 興味

興味のフェーズでは相手に自社のことをどう興味を持ってもらうかを考えます。サービスや物を購入する際に、皆様も提供者がどのような人なのかは気になるところでしょう。ここでポイントになるのは「自己開示」です。これまでどんな人生だったのか、なぜこのサービスを生み出したのか、どのように世界を変えたいのか、などの思いを発信していきます。YouTubeにある自己紹介の動画や企業ホームページの代表挨拶などはまさにこれに該当するのです。可能であれば単調な自己紹介にするのではなく、ストーリー調にしてどん底からの逆転という形にすると読み手に注目されやすくなるでしょう。

2.4. 集客

いよいよここからが後半戦。一般的に集客というとチラシのポスティングや、店頭で呼び込みをするイメージがあるかもしれません。Webマーケティングにおける集客とは顧客リストの収集のことをいいます。ここでいうリストとは、例えばメールマガジンの登録者リスト、LINE公式アカウントの登録者、YouTubeチャンネル登録者などのことをいいます。興味を持ってくれた見込み顧客とつながっておくことで、こちらからサービスや商品の販売につなげることができます。
ただし一点注意としては、必ずしもフォロワー=見込み顧客とは限らないことです。例えばSNSで何か面白い投稿がバズり、一気にフォロワーが増えたとします。その場合、ただ単に面白がって登録してくれているだけなので、商品の成約につながることは難しいでしょう。あくまでも商品を買ってくれそうな顧客リストを集めていくことが重要です。

2.5. 信頼構築

次が信頼構築のフェーズです。これは化粧品のサンプル送付やエステサロンの初回割引を思い浮かべるとイメージしやすいと思います。あなた自身や、サービスに興味を持ってくれてもそれだけではまだ購入には至りません。本当にその商品やサービスに価値があるのか顧客は判断できないのです。ここで重要なのは無料(または低価格)で価値提供をすることです。そのため無料お試し期間を設ける、無料セミナーで情報提供をする、など本当に顧客に価値提供をできるサービスであることを伝えていく必要があります。

2.6. 販売

ここまでのステップを踏めばあとは商品を販売していくだけです。信頼構築まで上手くいっていれば、あとは対面での商談、ECサイトでの販売などどのような方法でも一定の成約にはつながります。逆をいうと成約につながらない場合、これまでのステップのどこかで失敗している可能性が高いです。上手くいかない場合は一度Webマーケティングのやり方を見直してみましょう。

3.まとめ

今回はWebマーケティングの全体像について解説しました。この記事を読んでいただき、とりあえずWebマーケティングの概要を人に説明できるようになったのではないでしょうか。ただし実際には各ステップについてやり込むべきことは山のようにあります。まずは全体像を掴むことで、自社でWebマーケティングに取り組む場合、あるいは外部業者に委託する際にスムーズに施策が進められると思います。今後も情報発信をしていきますので、ぜひ別の記事もお楽しみにお待ちください。

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