優秀な人材の確保が企業の存続を左右する

中小企業診断士 髙橋 真輔

2~3年前までは考えられませんでしたが、厚生労働省が発表した平成26年5月の有効求人倍率(全国平均)は、「1.09倍」となりました。平成21年度の有効求人倍率は、「0.45倍」でしたので、わずか4~5年程度で有効求人倍率は2倍以上になったことになります。

有効求人倍率とは、求職者に対する求人数の割合を表しており、新規求人数を新規求職申込件数で割って算出します。有効求人倍率が「1.0倍」を超えたということは、労働市場が「売り手市場」に転じたということを意味し、企業にとっては人材の確保が難しくなるということを意味します。

近頃、飲食業界を中心に、アルバイト不足により閉店を余儀なくされる事例や、オープニングスタッフが十分に採用できずにオープンに影響が出たという話も耳にします。また、建設業界においては、作業に従事する労働者が確保できず、工事の完了が大幅に遅れるという話も珍しくありません。建設業界については、2020年の東京オリンピックを見込んだ建設ラッシュや公共工事の増加など一時的な影響も大きいのですが、業界を問わず「人手不足」の問題が現実化しつつあります。釈迦に説法となりますが、そもそも日本は「少子化」という構造的な問題を抱えているため、長期的に見ても、今後さらに「人手不足」となることは明白です。

いくら優れたビジネスアイデアや設備、ノウハウなどを有していたとしても、「人」がいなければ企業はその活動を行うことができません。今後、日本国内において企業が競争を勝ち抜いていくためには、「人材の確保」が非常に重要な経営課題となります。むしろ、優秀な人材を長期的に確保できた企業が、争を勝ち抜いていくという時代がやってくるはずです。言い換えれば、「人が長く働きたいと思える会社」が生き残るということです。

飲食業界や建設業界の話は、決して「対岸の火事」ではありません。今のうちに将来を見据えて、優秀な従業員を確保し、少しでも長く働いてもらえるような仕組みを考えましょう。そのためには、就業規則や人事制度の整備に加えて、国の助成金などを活用することも有効です。

厚生労働省では、「キャリアアップ助成金」という、いわゆる非正規労働者を積極活用するための支援策も打ち出しています。こうした国の制度の活用も含めて、中小企業診断士にご相談いただければ幸いです。

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