自民党政権と原発問題の行方

松井利夫

 12月16日に行われた衆議院選挙で自民党が圧勝し政権が交代した。このことにより原発政策が変わる可能性がでてきた。選挙戦の最中、自民党総裁は「原発政策に関して言葉遊びはすべきでない。できるだけ原発に依存しない社会をつくるが、軽々しくゼロと言わないのが責任政党だ」と言い切っていた。原発依存社会つくった自民党としては、民社党の「2030年代の稼働原発ゼロ」に同調するわけにいかないようである。
今後、原発問題がどのようになるのかは多くの国民の関心事であるが、経済産業省の諮問機関である「総合資源エネルギー調査会」の基本問題委員会が、民主党政権の「原発ゼロ政策」は曖昧だと反発して審議をストップさせている。新政権がどのような原発政策を進めるかによって審議の再開ができるかどうかが掛かっているように思われる。
原発の再稼働について自民党は「3年以内に結論を出す」と主張しているが、その前提として、「原子力規制委員会」による安全基準の確立をうたっているが一向に進んでいない。
新政権は、原発政策をどのように進めようとしているかを見守っていく必要がある。
先月号で、「再生可能エネルギーによる発電は原子力発電の代わりになるか」と題する記事を書いたが、昨年の7月1日から施行された再生可能エネルギー固定価格買取制度のお陰もあって、再生可能エネルギーの内、太陽光発電は順調に稼働が広がりつつある。しかし、風力発電については設置場所などの関係もあってそれほど進んでいない。環境省が平成22年度に行った再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査によるとわが国の年間発電量にほぼ匹敵するポテンシャルがあるという推計結果がでたが、この通りの発電量が実際に得られる訳ではないし即効性が無いことから、仮に原発ゼロを目指すとしても当分の間、原発に頼らざるを得ない。
現在、全世界で実用化されている原発の約80%は軽水冷却型であり「軽水炉」または「軽水原発」と呼ばれている。「軽水原発」は、①核燃料が固体であるため、核反応や放射線の影響で事故原因となることが多い、②燃料集合体の交換・位置換えの作業量が膨大である、③運転性能が柔軟でない、④小型炉に適さない、⑤ウラン燃料中にプルトニウムなど超ウラン元素が生成され、核兵器の原料となる、など問題点がある。今、世界各地で原発利用の気運が後退しつつある。その主な理由は、①多重な安全性強化が必要で、コスト増とも関連して経済競争力が低下してきた、②放射性廃棄物及び使用済み核燃料の処理が難問である、③核拡散対策を含めて社会的同意形成が困難である、ことである。
昨年の4月号で、「脱原発を考えてみよう」と言うことを書いたが、その際、現在の原発は、主にウランを核燃料物質としているが、ウラン以外にもトリウムという核燃料物質があることを紹介した。トリウムを核燃料物質とする「トリウム溶融塩炉」は、メルトダウンや核拡散の心配もなくプルトニムも生成しないなど、安全性が高い原発である。また、建設コストも安く電力需要の多い都市や工業地帯の近くに設置できて送電ロスを大幅に減らせるなど利点が多い。それほど良い原発でありながら、今まで実用化されなかった理由として、構想自体に何か欠陥があるのではないかと思う人もいるかもしれないが、今まで「トリウム溶融塩炉」が普及することに反対する政治的、軍事的な抵抗があっことは事実のようである。現在のウランを使用する「軽水原発」に反対する人も「トリウム溶融塩炉」という安全性の高い原発があることを知って貰えれば、原発に対するイメージが変わるのではないだろうか。マスコミもこのことを広く知らせる努力をして「新しい原発」の存続について真剣な世論形成をして貰いたいと思う。  マスコミも、このことを広く知らせる努力をして、「原発」の存続について真剣な世論形成をして貰いたいと思う。

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