「彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず」を実践する方法 

中小企業診断士 福島一公(ふくしま かずまさ)

孫子、謀攻編11章に、有名な「彼を知り己(おのれ)を知れば、百戦して殆(あや)うからず」という言葉があります。直訳すると「敵の実情を知って、自らをわきまえて戦えば、何度戦っても危険はない。」ということですが、これを経営に当てはめると、次のようなことになると思います。

自らを取り巻く外部環境(彼)の有利・不利を的確に評価し、自らが有する経営資源(己)の優・劣を適切に評価して課題に対処すれば、どのような状況にあっても競争に勝てるもしくは生き残ることができるということになろうかと思います。

今日、経営において「彼」を知り「己」を知る基本的なツールとして「SWOT分析」「3C分析」「ファイブ・フォース分析」などがあります。3C分析については昨年12月と本年2月にこのコラムで触れられていますので省略いたします。

SWOT分析とは、内部環境として自社の保有する経営資源について、競争していく上での相対的な強み(trength)および弱み(eakness)の要因を抽出し、外部環境において経営の追い風として認識できる要因を機会(pportunity)、自社にとってマイナスとなる要因を脅威(Threat)として抽出します。そうして強みを活かして機会をものにする、あるいは弱みを克服して機会を活かすなどの組み合わせ(クロスSWOT)によって経営戦略を検討します。そこから経営を強くしていくための主要成功要因(CSF、ritical uccess actor)を導き出していきます。

一方、ファイブ・フォース分析とは米国のマイケル・ポーターがその著作「競争の戦略」(1980年)において提唱したものですが、これは、自らの経営において脅威をもたらす5つの存在をモデル化したものです。すなわち、「原材料や部品供給を支配する供給企業の交渉力」や量販店や親会社のような「購買力のある買い手の交渉力」、あるいは同様の製商品を供給している「同業者間の競争関係」という3つの内的要因と、高い収益性に目をつけて「新規に業者が参入してくる脅威」あるいは「従来品の代わりになる、より魅力的な製商品をぶつけてくる脅威」の2つの外的要因の合計5つです。

このようなフレーム・ワークを使ってみると、なぜお客様が自社の製品を購入してくれるのか、なぜ自社に発注してくれるのか、そのあたりの事情が改めて分かってきます。そして、今後どういう分野に力を入れたらよいのか。また、今以上に売上や利益を伸ばすために何が足りないのかが明らかになってきます。すなわち、「己」を確認・整理し、課題を抽出し、効果的な解決策を実行していくことに役立てることができるわけです。

定評のあるフレーム・ワークの良いところは、何かを考える時に、もれなく検討ができるという点に威力が発揮できるところです。そして、これを利用することに慣れてきますと、経営課題の抽出を効率的かつ有効に行うことができるようになります。紙と鉛筆があればできます。

その際、言うまでもなく現状を上手に分析するだけでは何の役にも立ちません。「彼」が将来どのように変化していくのか、また、そのためには「彼」の変化の方向に「己」をどのように適応していかなければならないかを見定めるための洞察力が必要です。それが肝心だと思います。

中小企業診断士などの経営コンサルタントはこのようなフレーム・ワークを使いこなすことに長けています。中小事業者の方々は日々の経営に追われて、なかなか「己」のことをじっくり検討される機会がないことが多いように見受けられます。もしそのような状況にあって経営上の問題点や課題を認識し、経営を向上させたいとお考えならば是非一度ご相談下さい。第三者の専門家であれば、また違った視点で「己」を確認できます。

川崎市では(公財)川崎市産業振興財団において、中小事業者の経営に関する各種の課題解決のための施策を行っています。相談分野に応じて専門家を派遣する専門家派遣事業(有料)や各種課題について相談に応じる専門家窓口相談(無料)、緊急性を有する場合に専門家を派遣するワンデイコンサルティング事業(無料)などがあります。是非一度ご相談ください。

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