事業者版マイナンバーで手続きスッキリ!GビズID・ポータルで進めるDX
- 2026/10/1
- トピックス

中小企業診断士 箱山 玲
1.身近になった行政のデジタル化
最近、個人の確定申告や住民票の取得などで「マイナンバーカード」や「マイナポータル」を使う機会が増えました。スマホひとつで色々なことができるようになり、私たちの生活はどんどん便利になっています。
一方で、事業者の行政手続きはどうでしょうか。社会保険の手続きや補助金の申請など、会社経営では様々な行政手続きが必要になりますが、「まだまだ紙の書類と実印の手続きが多くて大変だ…」と感じている方も多いのではないでしょうか。
現在、国を挙げて行政サービスのデジタル化が進められており、事業者向けにもオンラインで手続きを完結できる便利な仕組みがあります。
それが「GビズID」と「Gビズポータル」です。
今回は、この2つのサービスについて、個人向けの「マイナンバー」と比較しながら解説し、これが中小企業の皆様にとってどんなメリットがあるのかを考えてみます。
2.「マイナンバー」と「Gビズ」の違い
私たちの生活ですっかりお馴染みになった「マイナンバーカード」ですが、実は事業者向けにも、これとよく似た仕組みが用意されています。それが「GビズID」です。この2つは、「誰が何のために使うか」という役割が異なります。
個人向けのマイナンバーカードは、確定申告や住民票の取得など「個人のくらし」に関わる手続きを行うためのものです。一方で、法人・個人事業主向けのGビズIDは、会社の社会保険手続きや補助金の申請など「事業の経営」に関わる手続きを行うためのものとなっています。
表 個人向けと法人向けのデジタルインフラの比較
| 対象 | 本人・事業者確認(認証の仕組み) | 情報・手続きの窓口 |
| 個人 | マイナンバーカード | マイナポータル |
| 法人・個人事業主 | GビズID | Gビズポータル |
例えば、経営者個人の税金の手続きには「マイナンバーカード」を使いますが、会社としての社会保険手続きや補助金申請には「GビズID」を使います。
3.GビズID:法人版「マイナンバーカード」でハンコいらずに
「GビズID」は、法人や個人事業主の方に向けた「共通のID(アカウント)」です。これまでは、行政機関のシステムごとに別々のIDやパスワードを作らなければならず、管理が大変でした。でも、このGビズIDを1つ作れば、いくつもの行政サービスに同じIDとパスワードでログインできるようになります。
最大のメリットは、これまでわざわざ窓口に持っていっていた紙の書類や、実印を押す手間がなくなることです。インターネットさえあれば、24時間いつでもどこでも手続きが可能になります。 例えば、社会保険の手続きができる「e-Gov(イーガブ)電子申請」や、補助金のオンライン申請システム「jGrants(Jグランツ)」があります。
e-Gov(イーガブ)電子申請
https://shinsei.e-gov.go.jp
jGrants(Jグランツ)
https://www.jgrants-portal.go.jp
なお、補助金を検討している方に注意点が1つあります。最近の補助金申請は「jGrants」を使ったオンライン申請が基本になりつつあり、その際に「GビズIDプライム」という本格的なアカウントが必要になるケースが増えています。このアカウントを作るには、印鑑証明書を提出して審査を受ける必要があり、発行までに数週間かかることもあります(※)。
「補助金に応募したいのにGビズIDプライムの発行が間に合わない!」と慌てないためにも、今のうちから、早めに作っておくことをお勧めします。
(※)マイナンバーカードがあれば、最短即日で取得できます。
4.Gビズポータル:法人版「マイナポータル」で有益な情報をキャッチ
無事にGビズIDを取得したら併せて活用したいのが、「Gビズポータル」です。これは事業者向けの行政サービスや支援情報を一つにまとめたサイトで、2026年3月にアルファ版(試作版)が公開されたばかりの新しいサービスです。
便利なのが「横断検索」機能です。業種や利用目的を指定して検索することで、複数の省庁にまたがる膨大な情報の中から「自社に必要な手続きや補助金」をすばやく探すことができます。生成AIによる情報の表示を許可すると、専門的な行政情報がより分かりやすく取得できるようになり、情報収集のハードルが下がります。これまでのように、色々な省庁のホームページをあちこち探し回る手間が省けますし、支援策の見落としも防げます。
また、「手続ジャーニー」という機能も見逃せません。例えば「創業のジャーニー」では、これから起業する方や創業して間もない方向けに、法人設立から資金調達、社会保険への加入といった手続きの流れを、時系列で分かりやすく案内してくれます。やることが多くて迷ってしまいがちな創業期に、とても頼りになるナビゲーターとなります。
さらに、行政手続きの申請書類などをオンライン上で一元管理できる「電子ロッカー」機能もあります。行政機関や士業者とのデータ共有や、チャットによるやり取りが可能です。書類の管理の手間を大きく減らすことができます。
5.国のデジタル化政策を、自社を変えるチャンスに
こうした行政のデジタル化は、単に「手続きがラクになる」というだけではありません。中小企業にとっては、業務全体をアップデートするチャンスになります。
「紙とハンコ」から「データとID」へ。役所の手続きが変わるということは、それに合わせて自社のやり方もデジタル化していく良いきっかけになります。オンライン申請によって浮いた移動時間やコスト、そして生まれた余力は、お客様へのサービス向上や新しい価値の創造など、会社にとって本当に大切な仕事に使えるようになります。また、「誰にどのIDを使わせるか」を考えることは、社内の情報管理や仕事の流れを見直す良い機会にもなります。
「やらなきゃいけないからやる」のではなく、「これを機に自社の業務もスッキリさせよう!」と前向きに捉えてみてはいかがでしょうか。
6.おわりに
行政のデジタル化の波は、今後ますます加速していくでしょう。「難しそうだから…」と後回しにせず、まずは「GビズID」を取得し、「Gビズポータル」を覗いてみる。そんな小さな一歩から始めてみませんか。
行政のデジタル基盤を賢く活用することが、これからの時代に対応するための大切な土台になるはずです。














